鬼の少女と文豪たち

ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス─其ノ玖 ページ33

敦side

子供の泣き声が聞こえる。


「泣くのをやめろ餓鬼め!!」

孤児院の職員が子供を叩く。


「詮無く泣いて許されるのは、負うてくれるくれる親のある子のみ!!」


叩かれた頬がジンジンと痛む。

「親にも捨てられたような餓鬼に、なく資格などない!!」

────────そうだ。

これは僕の記憶。


僕は、ずっと見捨てられながら生きてきた。






それでも僕は──────────!!!



……………………………………………



芥川は気配を感じた。


芥川は振り返り、気配の方へ視線をやる。


芥川「...!」


そこには、壁に両腕と片足だけで掴まり、こちらを見下ろす敦の姿。

敦は、骨が折れるような音を響かせ、形を変えていく。


芥川「そうこなくては」


虎は大きな唸り声を上げ、芥川に襲いかかる。


──────【羅生門】─────


羅生門は足を喰いちぎった


しかし、虎の足はブクブクという音を立て、再び脚を作った。


芥川「再生能力！しかも之程の高速で────！」



樋口「芥川先輩！」

芥川「退がっていろ樋口。お前では手に負えぬ」


既に、虎は芥川の前に来ていた。


芥川「疾いッ！」



芥川は咄嗟に手で網のようなものを作る。

しかし、虎の強い勢いで、芥川は壁に激突する。



芥川は血を吐いた。


樋口「おのれ!!!!」


樋口はもう一丁の銃を取り乱射した。


樋口「銃弾が...通らない....!?」


虎は樋口の方へ顔を向ける。



樋口「───っ」


芥川「何をしている樋口!!」



────【羅生門・顎】────




虎が樋口の目前まで迫った瞬間、虎は二つに両断された。

樋口の顔に血が飛び散る。

芥川「ち....生け捕りの筈が」

虎はそのままサラサラと姿を消した。


まるで、雪のように。

芥川「!」


谷崎「【細雪】....!」



芥川「今裂いた虎は虚像か！では─────」


芥川は後ろを振り向く。

その顔には笑みが浮かんでいる。



芥川「【羅生門】」

芥川「【叢】─────!!」



白虎と黒獣が激突する───────




太宰「はぁーい、そこまでー」








────異能力【人間失格】────








蒼い光が、2人を遮った。

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