鬼の少女と文豪たち

或る爆弾─其ノ伍 ページ21

敦side



か え り た い 。



僕は何故か武装探偵社にいます。


しかも、爆弾魔が人質を取って立て籠っている状況です。

帰りたい。



というのも、僕は今朝、社員寮の前で「探偵社には入れません」と断ろうとした。

太宰さんはそれを許可してくれたのか、仕事を斡旋して貰えるということだったので、その仕事について聞きたいのだが──────



太宰「あれ、高性能爆薬(ハイエクスプロオシブ)だ。この部屋くらい簡単に吹き飛んじゃうね」

太宰さんは爆弾魔のそばにある爆弾を見ながらそう言い、こちらを振り返った。

太宰「爆弾に何かを被せて爆風を抑えるって手もあるけど...」

A「この状況では...どうしますか？」


太宰「会わせてあげたら?社長に」

国木田「殺そうとするに決まってるだろう!!社長は出張中だ!!」


太宰「となると...」

A「人質をどうにかしなければ」


3人はそれぞれ真剣そのもので手を出す。



異能力を使うのか...!?


ポン!!


3人は手をピースの形にして出し合った。


え、じゃんけん???


そしてもう一度。

今度は手を開いた状態であいことなる。


またまたもう一度。

結果、太宰さんとAさんはそのままの形で

国木田さんは手を拳にして出した。


じゃんけんは国木田さんの負けだ。


太宰さんは国木田さんをニタァという顔で見つめる。

国木田さんはそれを見て、悔しそうにギリギリっと手を強く握った。

Aさんは勝てたのが嬉しそうに口角が上がっている。...可愛い。



太宰さんは国木田さんを促すように、手を爆弾魔の方へスっと差し出す。

国木田さんはまた悔しそうにわなわなと震えている。そして決心したのか立ち上がり、コツコツと爆弾魔の方へ舌打ちをこぼしながら歩いていった。

そして、おい、落ち着け少年、と声をかける。


爆弾魔「く、来るなァ!!吹き飛ばすよ!!」

爆弾魔は釦が付いたスイッチを突き出し、脅す。

国木田さんは立ち止まり、両手をあげる。


爆弾魔「知ってるぞ...アンタは国木田だ!!お前もあの嫌味な能力とやらを使うンだろ!?

妙な素振りを見せたら、皆道連れだ!!」

国木田さんは爆弾魔を止めることには失敗した。

太宰「まずいね、これは」

A「えぇ、流石探偵社に私怨を持つだけのことはあります」

太宰「うん、これじゃあ社員の私やAちゃんが行ってもより警戒させるだけだ。却説、どうしたものか...」



チラリと僕を見つめ、ニヤァと笑みを浮かべた






嘘だろ。

或る爆弾─其ノ陸→←或る爆弾─其ノ肆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す