人生万事塞翁が虎一其ノ拾弐 ページ13
敦side
或る倉庫の中──────────
明かりは付けず、窓から射す月の光が中を薄く照らす。月の光、と言っても雲に隠れているため薄い光だが。
人影が漸く分かるくらいの暗さであるのに、本を読んでいるのは、太宰治という男だ。
その隣に腰掛けている女の人は道夫Aさん。
無理やりここに連れてこられた為か少し顔を顰めている。
因みに太宰さんが読んでいる本は完全自 殺読本。
この本、本屋で売って大丈夫なのだろうか。
げっ...と、少し引きながらも、虎は本当にここに現れるのかを尋ねる。
太宰さんは本を見つめながら、本当だよ、と答えた。
頭の中が不安でいっぱいになり、太宰さんを見つめる。
太宰さんは本を下ろし、こちらを向いた。
太宰「心配いらない。虎が現れても私の敵じゃないよ。こう見えても武装探偵社の一隅だ。」
僕とは対照的に、全く不安の見えない声に少し自分が惨めになった。
はは...とかわいた笑みがこぼれる。
敦「凄いですね、自信のある人は...僕なんか孤児院でもずっとダメな奴って言われてて─────」
僕は俯いてぽつりぽつりと吐く。
敦「その上、今日の寝床も明日の食い扶持もしれない身で」
頭にまた、孤児院で言われた言葉が出てくる。
そうだ、僕は生きていても....何処にも居場所はないのに....。
敦「こんな奴が何処で野垂れタヒんだって..いや、いっそ虎に喰われてタヒんだ方が─────」
A「私はそうは思わないですよ」
綺麗な声が倉庫に響いた。
敦「....え?」
Aさんは此方を見ながら、
A「タヒんだほうがマシだなんて、思わないで下さい。私は敦くんがタヒんだら悲しいです。貴方は優しい人ですから。
今は場所を見つけられないだけ。
いつか必ず、あなたの居場所が出来る。
それに、そう簡単に人生を諦めたら、面白くないでしょう?」
その言葉は僕の心にストンと落ちてきた。
少し、心が楽になった気がした。
太宰「──────────却説、そろそろかな」
太宰さんは窓を通して空を見る。
雲から月がでてきた。
倉庫の中に光が明るくなる。
僕も太宰さんに釣られるようにして空を見上げた。
刹那、
ガタン!と大きな音が鳴った。
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夜ヨル(プロフ) - yuramatu0524さん» この世界の太宰さんの頭の中は、八割が夢主ちゃんで埋め尽くされています← (2020年5月6日 13時) (レス) id: c98efaf60d (このIDを非表示/違反報告)
yuramatu0524(プロフ) - 最後の太宰さんの頭の中に寒気がしたw (2020年5月6日 8時) (レス) id: 0bf737b52d (このIDを非表示/違反報告)
夜ヨル(プロフ) - まふぃんさん» うわぁーありがとうございます!やつがれ君実はギャグキャラっていうね(((新旧双黒どちらもツッコミor溺愛にしたかったので...!!!敦くんはツッコミの方が向いてる気がするんですよね笑もっとギャグ深められたらいいなって思います!!これからもよろしくお願いします!!! (2020年4月10日 22時) (レス) id: c98efaf60d (このIDを非表示/違反報告)
まふぃん - めっっっちゃ面白いです!芥川が夢主ちゃんに溺愛しているとは思わず、口からコーヒーが出ましたwこれからも頑張ってください! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 51d4efd8ad (このIDを非表示/違反報告)
夜ヨル(プロフ) - うわあああ有難うございますううう!!!これからもバンバン更新します!!!!! (2020年3月20日 12時) (レス) id: c98efaf60d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜ヨル | 作成日時:2020年3月13日 19時