人生万事塞翁が虎一其ノ拾 ページ11
敦side
国木田さんに押さえられた腕が痛む。
太宰「まあまあ国木田君。君がやると情報収集が、尋問になる社長にいつも云われてるだろ」
国木田さんはふん、と小さく云うと手を離し、何事かと集まった客に向けて、なんだ、見世物ではないぞ、と言った。
Aさんは店の店員に謝罪と説明をしている。
僕は腕を押さえながら体勢を戻した。
太宰「それで?君はあの虎の何を知ってる?」
敦「......うちの孤児院はあの虎に、ぶっ壊されたんです。」
頭に浮かぶのは、荒れ果てた孤児院の姿。
畑の作物や鳥小屋の鶏は殆ど喰われ、倉庫も吹き飛ばされ、悲惨な状態になっていた。
敦「死人こそ出なかったけど...貧乏孤児院はそれで経営が立ち行かなくなって、口減らしに僕は追い出された。」
「お前が────」
「お前の所為だ、この穀潰し────」
「何故です?僕は何も──────」
「この院に穀潰しは要らぬ」
「否、天下のどこにもお前の居場所はありはせん───」
「この世の邪魔だ─────」
「皆の邪魔ゆえ疾く消えよ」
「この世から消え失せるがいい」
途中から国木田さんとAさんは、静かに話を聞いていた。
太宰「......そりゃ災難だったね」
国木田「それで小僧」
国木田さんは鋭い視線で僕を見る
国木田「殺されかけた、というのは?」
僕は虎に対する怒りを込め、机をドンっと叩く。
敦「あの人食い虎───孤児院で畑の大根食ってりゃいいのに、ここまで僕を追いかけてきたんだ!」
孤児院を出て鶴見川の当たりを歩いていた時、ゴミと共に置かれたヒビの入った鏡をちらっと見た瞬間──────
ヌッ
見えたのは至近距離にいる白虎の顔。
あの怖い光景を頭の中からかき消そうと僕は叫ぶ。
敦「あいつ!!僕をおって街まで降りてきたんだ!!!」
敦「空腹で頭は朦朧とするし、何処をどう逃げたのか...」
A「それで気づいたら、ヨコハマに?」
敦「...はい」
太宰さんは手を顎に当てる
太宰「それ、いつの話?」
僕は何とか記憶を思い出す
敦「院を出たのが2週間前、川であいつを見たのが
────4日前」
国木田さんは手帳の頁を捲りながら、この情報が正しいことを確認する。
太宰さんは暫く考えた後、
太宰「敦くんこれから暇??」
...猛烈に嫌な予感が─────
太宰「君が虎に狙われているなら好都合だ」
太宰「虎探しを手伝ってくれないかな?」
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夜ヨル(プロフ) - yuramatu0524さん» この世界の太宰さんの頭の中は、八割が夢主ちゃんで埋め尽くされています← (2020年5月6日 13時) (レス) id: c98efaf60d (このIDを非表示/違反報告)
yuramatu0524(プロフ) - 最後の太宰さんの頭の中に寒気がしたw (2020年5月6日 8時) (レス) id: 0bf737b52d (このIDを非表示/違反報告)
夜ヨル(プロフ) - まふぃんさん» うわぁーありがとうございます!やつがれ君実はギャグキャラっていうね(((新旧双黒どちらもツッコミor溺愛にしたかったので...!!!敦くんはツッコミの方が向いてる気がするんですよね笑もっとギャグ深められたらいいなって思います!!これからもよろしくお願いします!!! (2020年4月10日 22時) (レス) id: c98efaf60d (このIDを非表示/違反報告)
まふぃん - めっっっちゃ面白いです!芥川が夢主ちゃんに溺愛しているとは思わず、口からコーヒーが出ましたwこれからも頑張ってください! (2020年4月10日 21時) (レス) id: 51d4efd8ad (このIDを非表示/違反報告)
夜ヨル(プロフ) - うわあああ有難うございますううう!!!これからもバンバン更新します!!!!! (2020年3月20日 12時) (レス) id: c98efaf60d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜ヨル | 作成日時:2020年3月13日 19時