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「おい、鳩野
____鳩野。」
隣に座る東さんが
不思議そうに、こちらを見ている。
「急にぼーっとして、どうした?」
「あー、大したことじゃないです。」
あははと苦笑しながら
心配かけてすみません
と、軽く頭を下げる。
「それにしても、A級は凄いですね。」
今日のバトルの解説を聴き
ぼーっと画面を見つめたまま、ぽつりと零した。
それに、
「こうして見るだけでも勉強になる。」
そう、東さんも頷きながら言った。
「そうですね、とても勉強になりました。」
「それは良かった。」
ははは、と東さんが笑う。
つられて私も笑を浮かべた。
「じゃあ、今回のランク戦、鳩野はどう感じた?」
うむ、
思考を巡らせる。
「チームの団結力と個人技能の差が
今回の試合の点差に現れたんだと思います。
特に後半は、二宮隊のいつもの勝ちパターンでした。」
「そうだね。
最近の二宮隊はこのパターンで安定している。
そして、彼らの個々のスキルが高いことに加え
それぞれの役割と去り際をしっかりと把握しているのがよくわかる、そんな試合だった。
じゃあ、他の隊はどうだったかな。」
えっと、
「どの隊も凄く良い動きをしている分、個人判断の戦闘に入った時に見える、一瞬の迷いが仇となっているように感じます。」
考えながら、拙く、言葉を並べる。
「やはり、予定外の攻撃のタイミングが遅い。
エースクラスになると、無くなってくるけど、それ以外の隊員の動きが引き金となったって感じですかね。」
「うん。考えて行動するのは大事なことだけど、考えすぎが仇となる。
敵のログが逆に焦りに繋がった感じかな。
大切なのは余裕を持つこと。
心に余裕があれば、全体を冷静に見て判断することが出来る。」
「なるほど。」
ふむふむと頷く。
「影浦隊は結構良かったな。
少し影浦を遊ばせすぎてる感じがするが、
こういった戦況だと、あれぐらい感覚で動いた方がいい場合もあるからね。」
「そっか、だからカゲは結構点とれたんだ。」
もう一度、画面の点差を見やる。
「まあ、影浦隊はもっと慎重になった方がいい気もするが。」
はははは、
東さんのその一言で、周りで聞いていた隊員達から笑いが起こった。
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作者名:御景 | 作成日時:2018年12月31日 9時