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それからは、2人で夢中になってお話した。
「思ったんだけど、Aちゃんって育ちいいっしょ？」
『え？どうして？』
なんとなく、財閥の娘だってことは知られたくないなって、だって知ったら絶対引かれるし、せっかく縮まった距離を一気に引き離しちゃうだろうなって思ったのに。
「ピアノ習ってるって言ったし、こんなとこにちゃんとハンカチ敷いてるし」
『服汚したらかわいそうだから』
「なにがかわいそう？服が？」
『お洗濯してくれてる人。余計な手間増えちゃうでしょ？』
「え、あの、もしかして、洗濯してくれてる人って、お手伝いさん……とか？」
『うん』
「ひぇ〜、ガチもんじゃん」
『ガチもん？』
私の家が普通じゃないって知っても、シンタローくんは楽しそうに会話を続けてくれた。
むしろ
「家の中って部屋なんこあんの？」
「お手伝いさん何人いんの？」
「給料いくら？俺も働こうかな笑」
「いつからピアノやってんの？」
「他にも習い事してる？」
単純に興味があるようで、ずーーーーっと私に質問攻めで終始楽しそうに話を繋げてくれた。
だから私も、そんなにいいもんじゃないよってつい余計な話までしてしまった。
「てかAちゃん、こっからどうやって帰んの？」
『あ、結城が迎えに……………やば！！！！』
「おぉ、お嬢様でもやばって言うんだ」
チラッと確認した腕時計は、ピアノ教室を出てから軽く1時間は経っていた。
でも、結城からの連絡は１つも入っていなかった。
メッセージを送るなり電話するなり、探しているはずなのに。
『ごめんねシンタローくん、私戻らなきゃ』
「うん。送ってこうか？」
『大丈夫、走ってくから』
「わかった、気をつけてね。また」
『またね！………あ、』
立ち上がって走り出そうとくるりと後ろを向けば。
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作者名：なぽりたん
| 作成日時：2023年3月16日 21時
