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海から離れて、砂浜に降りるのに使った階段を今度は上った。
樹「……お、やっと来た」
「樹、」
上り終えて見えたのはある1人の背中で、私たちの存在を振り返って確認すると立ち上がった。
突然現れた見知らぬその人に、私は咄嗟に慎太郎くんの背中に隠れた。
樹「うわ、めっちゃビビられてる」
「Aちゃん大丈夫、こいつは俺たちの味方だから。
樹だよ、俺のサーフィン仲間」
樹「どもー」
ゆる〜いその挨拶に、私は慎太郎くんの背中から片目だけを覗かせた。
慎太郎くんのサーフィン仲間ということは、私は車の中から見たことがあるのかもしれないけど……
正直わかんない。
自分でも気持ち悪いくらいに、慎太郎くんのことしか見てなかったんだなって引いた。
樹さんの体は細くて長い首にはいつくかの重めのネックレス。
耳元にはピアスも開いていて、ちょっと………怖いかも。
『………』
「大丈夫だってAちゃん、こいつは俺らの協力者だから」
樹「はっ、まぁいいよ、俺の見た目が悪いせいだから。
これから、困ったことあったら慎太郎の次に頼って」
『…………はい、』
ヘラヘラと笑う、樹さん。ちょっと……苦手、かも。
「大丈夫、こう見ててコイツ切れ者だからさ。
まぁ今日は紹介だけ。……頼むな、樹」
樹「おう。じゃあね、Aちゃん」
『………さようなら』
樹「はーい。お熱いお2人さんまた」
「…………見てたのかよ」
『？』
樹「そりゃあんなところで、ねぇ？」
「………行こ、Aちゃん」
ふらふらと手を振る樹さんを後ろに、私たちはまた歩き始めた。
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作者名：なぽりたん
| 作成日時：2023年3月16日 21時
