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Aちゃんとの電話を切り、俺の頭の中はぐるぐると回っていた。
どうしたらいい、これから。
Aちゃんがいなくなったと分かれば、追跡は厳しいものになるだろう。
たかが一般の高校生の俺に、そんなのを掻い潜れるわけ…………
手に持ったスマホをスクロールする。
目当ての奴に発信すれば、そいつはすぐに電話に出た。
樹「もしもーし、」
「っあ樹？今ちょっといい？」
樹「なにー？」
樹には、全てを話した。
驚かれるだろう、という俺の予想は「ふーん、」という発言で裏切られた。
「びっくりしねぇの、」
樹「なんとなくわかってたよ、最初っから」
「なんで、」
樹「だってお前あんときあんなに怒ってたし、女の子の話した時もさ。
惚れてんだろうなって。んで、どーすんの？」
「手伝ってほしい、後でなんでもするから。助けて」
樹「おっけー、任せろ」
それから樹は、あーした方がいいこうした方がいい、とたくさんのアドバイスをくれた。
お嬢様との駆け落ち経験者なのか？と疑いたくなるくらいに具体的で頼もしいアドバイス。
樹「でもマジで気をつけろよ」
「うん………ん？」
樹「だってあの京本家の娘なんだろ、どんな手使ってでもとっ捕まえにくるぞ」
「やっぱそうだよな………」
樹「ま、なんかあったらすぐ連絡しろよ」
「わかった。……ありがとな」
樹「お礼はそのお嬢様の紹介でいいよ」
「ふざけんな」
樹「はっ、冗談」
頼れる仲間がいて良かった。
樹がいてくれれば心強い。
俺が頼りなくてAちゃんを不安な気持ちにさせるわけにはいかないから。
俺が守るから。
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作者名：なぽりたん
| 作成日時：2023年3月16日 21時
