あなたが見る世界を知りたい (ページ4)

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『ねぇ結城、海水って本当にしょっぱいの？』

結城「はい、とてもしょっぱいですよ。塩分濃度は3.4%です。

帰宅されましたらお作りしましょうか？」

『飲ませる気？』

運転手は、私専属の執事の中でもチーフを務める結城。

私が0歳の頃から付いてくれていて、私が16歳になった今も育ててくれているもはや親代わりだ。

私が結城に懐きすぎて、運転手は本来“運転手“として雇われた者がするはずが、私が駄々を捏ねて結城にさせている。

しかも結城はチーフなのだから、若い執事にやらせればいいものの、優しいから私のわがままを聞いてくれた。

私専属の執事は結城を含め3人、メイドは5人。

執事の仕事は私の食事の準備や後片付け、勉強を教えたりスポーツの対戦相手をしたり、散歩に付き合ったり。

私が小さいころは学校の送迎の運転手は結城以外許さなかったが、結城の忙しさを理解して他の執事にもさせるようになったのは中学生くらいからかな。

メイドたちは、主に私の身の回りの世話をしてくれている。

朝は私を起こすことから始まり、掃除や洗濯などの家事だったり、ヘアセットの仕上げやメイクの練習を一緒にしたり女性ならではの仕事をしてもらっている。

家族と過ごす時間は多いとは言えない私だけど、優しい執事とメイドたちに囲まれて私の暮らしは不幸ではない。

裕福な家庭に生まれたことを、嬉しく思ったことは何度もある。

あれが欲しいこれが欲しいと言えばすぐに買ってくれるし、あれが食べたいと言えばその日のうちに目の前に出される。

やっぱり今日は違うものが食べたいとわがままを言ったこともあるけど、それでも執事たちは困った顔ひとつせずに対応してくれた。

勉強ができる環境もあるし、職業の選択肢なんて五万とある。

でも、どこか物足りなさを常に感じている。

原因はわかってる。

私は、お嬢様に向いてない。

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