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「…………っし、できた」
俺の手のひらに収まるそれは少し前からちまちまと作成していた、シーグラスが光るイヤリング。
男用のネックレスとかブレスレットしか作ったことなかったから、女の子っぽく仕上げるのは難しかった。
前に1回妹に作ったきりだったから不安だったし。
Aちゃん、喜んでくれるかな。
できるだけAちゃんのイメージに合わせて作ったんだけど。
あとはこれをどうやって渡すかをずっと考えてた。
Aちゃんは時間に縛られている人だし、監視の目もある。簡単にはいかない。
下手なことしでかしたら、Aちゃんが怒られる。
「…………あ、」
ピアノ教室に来る日ならわかる。そこで受け取ってもらおう。
早速AちゃんにLINEを送って、レッスンが終わる時間を聞き出した。
そして、そのくらいの時間にピアノ教室の前に行って。
とりあえず、目的のそれを門柱の上に置いて。
運よく、Aちゃんに会えないかな………
少し待ってみようと塀にもたれた時、右手奥から見覚えのある黒い車が走ってくるのが見えた。
「っやべ、」
ただの車じゃない。あの車は。
見つからないように、車が来る方向とは反対に急いで走って、視界から外れるようにとりあえず角を曲がった。
あー……一目でも、Aちゃんの顔見たかったな。
てか、気づいてくれるかな。門柱の上、少し高いから背の低いAちゃんには見えにくいかもしれない。
喜んでくれるAちゃんの笑顔、見たかったな。
今日の夜、また電話しよう。
スマホ越しに声が聞けるだけでも十分なはずなんだから。
「………っうお、」
『慎太郎くん！？』
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作者名：なぽりたん
| 作成日時：2023年3月16日 21時
