あなたが見る世界を知りたい (ページ20)

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『ごめんね松村』

松村「いえ、自分が遅れたせいですので」
　
『公園にいたことは結城に黙っててもらえる？』

松村「……かしこまりました」

『公園で見たことも、全部忘れて』

あれからすぐに、私は公園を出た。

呼んでおいた松村が公園の前に停めた車に乗り込んで。

どうして先生のお宅にいないんですか！？と松村に聞かれた。

先生の家に着いても私がいなくて、さぞ焦ったことだろう。

ごめんと謝る私を、松村は責めたりしない。

結城だったらこっぴどく怒られていただろうけど。

『結城になんで遅かったか聞かれたら、私がトイレこもってたとか適当なこと言っていいから』

松村「よろしいのですか？」

『じゃなきゃ松村が怒られちゃうでしょ』

松村「ありがとうございます………A様にも結城さんに秘密にしていること、あるのですね」

『も、ってことは松村あるの？』

松村「あ、いや〜〜………」

『へえ、いいこと聞いた。今度教えてね』

松村「A様〜……」

松村は物静かだけど思慮深いだけで悪い人じゃない。

松村が悪いと結城に勘違いさせて怒られるのはさすがに申し訳ない。

まだ私のことを多少怖がっているようだし、結城のことも怖がってるし、きっと今日のことを告げ口したりはしないだろう。

きっとシンタローくんの姿も見たはずだし、何か勘づいてるだろうに。

なんか弱みを握られた気分。

でも。

自分のスマホに表示された、「慎太郎」という連絡先。

これだけで、嬉しくなっちゃう。

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