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『……ねぇ松村、』
松村「っ、はい、」
『そんなにびっくりしないでよ』
松村「申し訳ございません」
『別に怒ってないって』
私の食事について世話をしてくれているのは、私の専属執事の1人、松村。
京本家に雇われて5年。私の担当になって1年足らず。
仕事はすごくできるんだけど、私にはまだ緊張しているよう。
『結城に怒られたことある？』
松村「それはもちろん」
『どんな感じに怒るの？怖い？』
松村「え、あ〜……いや、」
『別に結城に言わないから大丈夫よ』
松村「…………怖いと言えば、怖いですよ。
まぁでも自分の場合は、自分のミスのせいですし、
何より、A様のためを思ってのことだと分かっていますから」
『私のため？』
松村「はい。結城さんはA様のためならなんでもしますし、いつ何時でもA様のことを考えてらっしゃいますよ」
『ふ〜ん……』
今日のあれも、私のためを思って本気で怒ってたって感じなのかな。
にしても怖かったけどなあ。
『………松村って結構よく喋るんだね』
松村「あ、自分喋りすぎましたか、すみません」
『んーん、意外な発見だなって。普段からそれくらいでいいのに』
松村「いやしかし、自分なんてまだまだですし、A様とおしゃべりするに値しない人間です」
『何言ってんの(笑)
こっちは10個以上年下のただの高校生なんだから気楽にやってよ』
松村「そんなわけにはいきません！」
『緊張しなくていいって言ってるの。
偉いのは私じゃなくてお父さんとお兄ちゃん。
ここで働いてるなら松村も家族みたいなもんだし、松村の家でもあるんだからさ。
ほんと、緊張しないで』
松村「A様………」
『はい、お近づきの印。トマトあげる』
松村「それは食べさせるよう結城さんからご指導いただいております」
『抜かりないな』
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作者名：なぽりたん
| 作成日時：2023年3月16日 21時
