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父「遅かったじゃないか」
家に帰ると珍しく父がいた。
結城「事故渋滞に巻き込まれてしまいまして」
父「1時間以上もか」
結城「大きな事故で交通整理がなされていなかったんです」
父「それはご苦労だったな」
父は結城のことをとても信頼しているし、結城も父のことをとても慕っている。
でもそれ以上に、私と結城の間には強い絆がある。
私が勝手をしたことを言わないでくれている結城の優しさ、ちゃんとわかってる。
父「どうしたA、練習、疲れたか？」
『………今日のレッスン上手くいかなくて。部屋で練習してきます』
父「やりすぎると手を痛めるからな、程々にしなさい」
『はい。結城、』
結城「はい」
結城と共に自室に戻った。
私はソファに座り、結城が入れてくれた紅茶をひと口啜る。
『………ありがとう、お父様に言わないでくれて』
結城「もちろんでございます」
『いつもごめんね』
結城「私の主はA様です故」
『……でも、ほんとごめん』
結城「…珍しいこともあるのですね、A様がこんなに素直だなんて」
『なにそれ………でも私も初めて見たよ、結城のあんな怖い顔。
あんな顔できたんだね』
結城「A様のためですから」
『彼は悪い人じゃないよ？』
結城「承知しております」
行きたくもないレッスンに行かされても、結城とこうやっておしゃべりする時間が私は大好きだ。
学校の愚痴だって習い事の愚痴だって、時には家族の愚痴だって。
結城にはなんでも言えるし、なんでも聞いてくれる。
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作者名：なぽりたん
| 作成日時：2023年3月16日 21時
