壁 ページ9
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ぼーっと1人で歩く、家路。
数分前の出来事を、頭の中で再生する。
さっき、1人の男性に声をかけられた。
ナンパかと思った。
でもスーツ着てるから、真面目に応えてあげたら、
「モデルとか興味あります?」
『へ、モデル、ですか…』
「そ、芸能界」
芸能界…
好き、ではない。
だって、望のいる世界。
ふと、考えたことがある。
もし私が望と同じ世界にいたら。
芸能人同士なら、って今よりもっと早く付き合ってた?
芸能人同士だから、って付き合ってなかった?
いや、望と出会うことすらできてなかったかもしれない。
今が幸せだからいいとは思うけど、
こうなってたら、って考えちゃうのは
やっぱり人間だから。
芸能界に憧れたことはある。
入りたいって訳じゃないけど、
一般人と芸能人っていう隔たりがある今、
望と同じ世界にいる人たちのことを羨ましいと思うことはしょっちゅうだ。
さっきみたいに声をかけられたのだって、
初めてじゃない。
でも、回数を重ねていくにつれ、考えは深くなる。
私はどうしても、望との壁を感じてしまっているから。
でもこんなこと望に言っても、
そんなん関係あらへん!
とか言われるだけなんだろうな。
呑気な奴め。
.
「え、またスカウトされたん?」
『うん』
「さすが俺の彼女。受けたん?」
『当たり前に断ったよ』
「なんでやねん!
俺と一緒にFINE BOYS載ろうや!」
『あれ男性向けの雑誌でしょ』
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作者名:なぽりたん | 作成日時:2018年7月24日 14時