森本刑事の恋愛日記７【完】

＊ ページ29

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翌日。


Aを乗せた車椅子を押して、赤ちゃんの元へ会いに来た俺たち。


保育器で眠る赤ちゃんのすぐ側で、先生からの説明を受ける。





先生「赤ちゃんは生まれる直前、産道で止まってしまって呼吸ができなくなってしまったんです。

今は人工呼吸器を使ってサポートしていますが…

元気になれば数日で取れるはずですので、そうしたら退院です」

『よかった…』




心の底からほっとした。








先生に促されて、俺たちは指を一本、赤ちゃんの手元へ近づけた。


間もないうちに、きゅ、と握ってくれて。


あぁ、生きてるんだって。




目を潤ませるAと笑い合って、赤ちゃんと手を繋いで。


これ以上の幸せはないんだって確信した。















病室へ戻ろうと廊下に出れば、産科の先生が涙を拭っていた。






『先生、本当にありがとうございました』

「ありがとうございました」

先生「おめでとうございます。

お2人が頑張ったからですよ。

これから少しでも不安なことがあったらいつでも来てください。

僕たちはいつでも、ここにいますから」








優しい先生で本当に良かった。

これからも、赤ちゃんの顔を見せに来ないとな。









そして数日後、俺たちはやっと、すっかり元気になった赤ちゃんと直接対面した。


やっと、Aは赤ちゃんを自分の腕の中で抱けた。





『………可愛い』





やっと出会えた、Aの正真正銘の家族。

Aの、新しい家族。




お義母さんも、あの子も、きっと喜んでるよね。








助「……じゃあ次はパパに抱っこしてもらおうね〜」

「え、え、ちょ、え、」

『落とさないでよ？』

「え、うわ、わぁ、おぉ、パ、パパだよ」

助「お写真撮りましょう！」

『お願いします』

「え、ちょ、A、交代！」

『えもう？頼りないパパだなぁ』

助「いきますよ、はいチーズ！」











俺はこの写真を、いつ何時も手放すものかと決めた。


俺が守るものは、日本国民と。


世界で一番大切な、この2人だと。







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