森本刑事の恋愛日記１

＊ ページ17

.




あれから毎日、法医学教室にお邪魔して、書類作業だったり、検証だったりを手伝うことになった私。


本当は解剖のお手伝いもできたらいいんだけど、私はそっちに関しては素人だし、さすがに耐性がないから遠慮させてもらって。




でも大体のお仕事の流れには慣れてきて、順調な日々を過ごしていた。



今日も野毛山署の皆さんに、あるご遺体の解剖結果を伝えている。





そして、私に新たな感情が一つ、芽生えた。

それは、皆さんへの憧れ。




ここにいる皆さん、真剣に解剖と向き合っていて、自分なんかがいてもいいのかと思うくらいに。

でもだからこそ、皆さんの役に立てるように頑張ろうって思えて。


こんな素敵な場所を紹介してくれた森本さんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。




そして、アルバイトの光子ちゃんとは入った時期も同じくらいで、色んな話ができる仲になっていた。








あ、会議が終わったみたい。


山倉係長から先に部屋を出ていかれて、最後に残ったのは森本さん。





これはいつもそうで、森本さんは私なんかにもしっかり挨拶をしてくれる。


ちゃんと仕事できてるのかなって、心配してくれてるのかもしれないけど。








「ありがとうございました」

『お疲れ様でした、捜査頑張ってください』

「はい、ありがとうございます」





私たちが最後に2人だけで会話を交わすことは、恒例になっていた。








そして、変わったことがもう１つ。





「じゃあ、また、Aさん」

『はい、お気をつけて』



森本さんは、私のことを“Aさん”と呼んでくれるようになった。




.

朝顔公式HP→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す