135. ページ37
.
【勘違いはするなよ嬢ちゃん。嬢ちゃんが死ねば儂も死ぬ、だから力を貸しているだけだ】
｢でも、沖縄の更地に放っておいても別に私は死なないわよ？｣
痛い所を突かれたのか、眉根に皺を寄せ口を一文字に結んだ酒呑。
何故、私を助ける事をそんなに否定したがるのか。
そのプライドはどうにも理解出来ない。
｢…ふふっ、今度お酒奢るわ｣
【何が面白いのだ。……酒は…貰っておく】
酒好きは相変わらず健在な様だ。
お酒に弱い私は普段全く飲まないので、酒不足なのか不満を漏らす酒呑。
少しだけ飲む頻度を増やすと言えば、嬉しそうな笑顔を向けてくれた。
｢貴方がそんなに優しいから、宿儺の対応には驚いたわ。悠仁に全然優しくないんだもの｣
【ああ、呪いの王か。儂とて嬢ちゃん以外の者は心底どうでも良いからな、喰えと言われれば喰う。呪えと言われれば呪う】
酒呑はそう言って呪いらしい悪質な笑みを浮かべた。
彼の言う『言われれば』というのは、つまりは私が願い、命令すればそうするという縛りの事である。
何故、こんな私優位の縛りを結べたのか説明するとなると、十二年前まで遡らなければならないのでまたの機会に話すとしよう。
｢
【生物の中では一番美味いな。特に若くて綺麗な女、嬢ちゃんの様にな】
そんな恐ろしい事を言いながら、何処ぞの変態の様に手をワキワキと動かしながら私との距離を詰める酒呑。
吸血鬼の様な八重歯がギラりと光り、嫌な予感を感じた時には時既に遅し。
鋭い痛みと共に、首筋に酒呑の八重歯が突き刺さった。
｢っ…、急に来ないでって…いつも言ってるでしょっ…！｣
【血ぐらい許せ、肉を喰い千切らんだけ有難く思って欲しいもんだ】
そんな上から目線な態度で、彼は口の端に垂れる血を舌で舐めとった。
基本的に彼は飲み食いしなくとも生きていける身体ではあるが、美味さというのは理解している訳で、人の血肉を摂らない代わりに、こうして生得領域に来た私の血をここぞとばかりに摂取する。
相変わらず美味い血だ。なんて呑気な彼の腹を軽く殴った。
｢次勝手に呑んだら二度と来ない｣
【はっ！？わ、悪かったって嬢ちゃん！おいっ__】
騒ぐ酒呑を他所に、私は二日ぶりに目を覚ました。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 525人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HamA | 作成日時：2020年12月14日 0時
