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｢…またやっちゃったみたいね、私｣
今自分のいる場所が医務室である事、最後の記憶が出張先の沖縄である事、そして身体に流れる呪力の少なさに恐らく、というか間違い無くやらかしてしまったという事を察した。
高専に通っていた時に何度かやらかしていたが、なんというか、久し振りに限界突破をした気がする。
｢私、どうやって戻って来たの｣
｢……意識失わずにぼーっとした状態で帰ってきた。流石だよ｣
空いた間に少し違和感を覚えたが、未だ重い身体と痛む頭が辛く、追求するのは思い留まった。
どうやら私は五日間も眠りに就いていた様で、それだけ休んだにも関わらず、三分の一程の呪力しか回復していない事に深く溜息を吐く。
｢本当に面倒臭い身体。ある意味の天与呪縛なのかしら？｣
｢こればっかりは仕方無いだろ。…御免な。早く終わらせようなんて言ったから、無理させた｣
何故彼が謝るのかと、身体を起こし私を見つめる彼を見返す。
久し振りに見るその綺麗な顔は、心無しかやつれており、目の下には隈を携えていた。
__また、暴走させてたみたいね。
昔から意識を失った時、自分の霊眼のコントロールが効かなくなっている事は何となく気付いている。
気を遣ってくれているのか、一度もその事を咎められた事は無いけれど。
恐らく彼は、この声に耐えながらずっと傍にいてくれたのだろう。
｢…悟、辛かったわよね。御免なさい｣
｢はあ？ただ隣にいただけだ、辛い事なんかねーよ｣
彼は今回も気を遣ってくれるのか、私の頭を撫でながら笑顔を見せた。
申し訳なさと不甲斐なさで涙が溢れ出てきそうになったが、泣いたって仕方が無いと無理矢理引っ込ませる。
｢あ、そういえば。Aが寝てる間に恵と野薔薇が心配して見舞い来たよ。危ないから追い返しちゃったけど｣
｢…え、やだ私、生徒の前でやらかしたの｣
失態もいいとこ過ぎると両手で顔を隠し、追い返してしまったのは申し訳無いとすぐにベッドから出て、ふらつく足で医務室を飛び出した。
流石に五日間も動いていないと脚に力が入らず、壁に手を付き自分の身体を支える。
｢おいA！ちょっと待て…っ！___｣
後ろで叫ぶ悟にもう大丈夫だと無理のある返事をし、思い通りにならない脚を必死に動かし教室へと急いだ。
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作者名：HamA | 作成日時：2020年12月14日 0時
