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__出張二日目夕方、中部地方
｢ハアアアアアア｣
《A、少し休んだ方がいい》
中部での任務二件目。
最後の呪霊を祓い大きな溜息を吐けば、手伝ってくれた鈴が心配そうにそう言った。
あれからオールで東北の任務を全て片付け、お昼前の新幹線で中部へとやって来た。
新幹線で軽く食事を取ってから一時間程の仮眠を挟み、関東と東北の報告書を纏めていればあっという間に中部に着き、間髪入れず二件任務を片付けたところだ。
｢でも良いペースよ。予定なら此処には三日目に来る筈だったもの｣
《悟に会いたくて急いているのだろうが、無理はするな》
呆れた表情でそう言った鈴に、別に早く終わらせたいだけだと、僅かに染まる頬を隠そうと顔を逸らす。
隠す必要も無かろうと前から聞こえるが、そういう事でないのだ。
揶揄わないでくれと現場を後にしようとした時、ポケットの中のスマホが着信を報せ、画面を確認すればタイムリーにも表示されたのは五条悟の名。
｢お疲れ様、どうしたの？｣
『お疲れサマンサー！どうそっちの調子は。因みに僕は一週間も掛からずに帰れそう』
おちゃらけた調子でそう言った悟に、こっちは任務の数がえげつなくて参っていると伝えれば耳に響く笑い声。
このスピードでいけば私も一週間以内に終わらない事も無いが、悟と違って此方は移動時間も含まれのだ。流石に厳しい。
『あと何件あんの？何なら手伝いに行くけど』
｢何件かなんて数えたくもないわ、別に大丈夫よ。其れよりも悠仁と建人くんに任されてる任務、少し面倒臭い事になってるみたい｣
昨晩の建人くんの怪我の事等を報告すれば、｢ダッセ｣なんて笑い声が聞こえて来た。
けれど、直ぐに重傷じゃ無いんだなと彼を心配する辺り、本当に素直じゃ無い。
｢直ぐに硝子さんの所に連れて行ったから大丈夫よ。相手はツギハギの人型呪霊。術式は正確には把握していないけれど、その者の魂に触れどうにかする様なものらしいわ｣
『ツギハギ…見た事ねえな。分かった、調べるだけ調べてみる。あんま無理するなよ、じゃあな』
後輩を傷付けられた事に多少の怒りを感じているのか、戻る荒々しい口調。
急ぐ様に切られそうになった電話口に有難うと早口に伝え、スマホをポケットにしまい、小さな声で呟く__
｢…会いたい｣
《ははっ、本当にAは悟が好きだな》
煩いわと顔を背け、早く終わらせようと次の現場へと歩を進めた。
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作者名：HamA | 作成日時：2020年12月14日 0時
