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120. ページ22

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__数時間後、神奈川県某所




「はああああ…」




茜色に染まる空を見上げ、深く溜息を吐く。

あれから何件か任務をこなし、移動時間は報告書を纏め、関東では此処、神奈川の任務で最後だ。

流石は私と言うべきか、思ったよりも早く今日の任務が終わった事に自分で称賛を送る。




「悠仁も建人くんも返事くれない…」




もう任務は終わって東京に戻ってしまったのかと、少し寂しい気持ちでスマホでいいお店がないかと検索を掛けながら歩みを進める。

そして、丁度川沿いの道、橋の上を通りかかった時河川敷から二人程だろうか、男の子の笑い声が聞こえ視線を向ける。




「あれ、悠仁…と、あの子…」




河川敷に見えたピンクの短髪と特徴的な学ランと赤パーカーは間違える筈も無く悠仁であり、その近くには前髪の長い少年がいた。

何処かで見た覚えがあると記憶を辿れば、八月頃に里桜高校で飴をあげた男の子だという事を思い出す。

あの時は傷だらけで絶望的な顔をしていた少年が、自分の生徒とどういう繋がりなのかは分からないが笑い合っている。




「…青春してるじゃない」




橋の手摺に腕を乗せ楽しそうな二人を暫く眺め、自分も久し振りの再会だし、一言挨拶でもして二人をご飯に連れて行こうと声を掛けようとしたその時。

__聞こえる、声。

痛みに耐える様な、苦痛に歪む、私にだけ聞こえる魂の声、感情。




「…建人くん?」




感情が聞こえる程の仲である人は限られる。

何となくの感覚で、大体誰の感情なのかは分かる。

人の魂は、それぞれ異なるから。




「これは…相当痛いのね」




微かに聞こえる程度だけれど、此処迄聞こえるとなると相当な痛みに耐えているのだろう。

悠仁は此処にいる、少年と。

恐らくあの少年が今回の事件の重要参考人なのか、其方を悠仁に任せ自分は危険な道を選んだか。




「大人の責任ってやつなのかしら?建人くん」




相変わらずだと、声のする方へと駆け出した。




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作者名:HamA | 作成日時:2020年12月14日 0時

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