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111. ページ13

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__綺麗。




まだ季節は夏だというのに目の前で吹き荒れる綺麗な紅葉に、こんな状況にも関わらず見蕩れてしまった。

勿論それは私の命により繰り出された紅葉の技であり、彼女が振るう扇に合わせ、辺りは秋景色へと変わっていく。

そんな景色に、恵と野薔薇も攻撃の手を止め口をあんぐりと開けてしまっていた。




《嬢様、やる事があるのでは無いのか。此方は任せて早く行くが良い》


「あ…、綺麗で思わず見蕩れちゃったわ。恵!野薔薇!その紅葉に触れない事!危ないわよ!」




紅葉の言葉に脳を覚醒させ、恵と野薔薇に紅葉に触れるなという注意を言い残し、私は窓を突き破り病院内へと足を踏み入れた。

何故、紅葉に触れてはいけないのか。

よく言うだろう、『美しいものには棘がある』と__




《爆ぜよ》




背後で微かに聞こえたその声と共に、視界の端に捉えた真っ赤な灯り、耳に届く爆発音、背中に感じる熱気。

建物が僅かに揺れ、熱を含んだ風が廊下を吹き抜けた。

私は後ろを振り返りながら、冷や汗を流す。




「相変わらず、えげつない威力ね…」




この爆発は、紛れも無く紅葉の技である。

先程の様に扇を振るえば紅葉が吹き荒れ、それを合図と共に爆発させる広範囲攻撃。

よく呼び出す近距離の肉弾戦が得意な天邪鬼よりも、今回の場合は紅葉の様に広範囲攻撃が出来る式神の方が良い。

と思ったのだが、思った以上の威力に恵と野薔薇は巻き込まれていないかと心配になった。




__守りながらって言ったから、大丈夫だと思うけど…。




死なない様にと言っておきながら、これで怪我をさせていたら元も子も無い。

まあ、そんな事を言っていても仕方が無い。私がやるべき事は一つだ。

紅葉のコントロールと生徒のタフさを信じ、私は病院内を駆け抜け結界の核へと向かう。

階段を駆け上がり、目的の階へと到着した所で廊下や病室に大量の呪霊。




__御免なさい、貴方達に構ってる暇無いの。




そう心の中で思ってもいない謝罪をし、私は左足を大きく後ろに下げ、左腰の刀に手をかけた。

此処は廃病院、霊も十分に多い。

一体に一秒も掛けてはいられ無い。ならば一瞬で、大量に仕留める。




__霊眼よ、引き寄せろ。




刀を僅かに鞘から抜きながら右眼に呪力を込め、地を蹴り上げた__




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作者名:HamA | 作成日時:2020年12月14日 0時

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