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｢話が長くなりましたね｣
悟の怒りも私の尽力により収まりをみせた頃、彼はそう言って話に区切りを付けた。
そして、｢要するに、私も貴方を術師として認めていない｣と、厳しくも、然し大多数の術師の意見を、悠仁に言い放つ。
それでも、否定だけで終わらないのが七海建人の優しさである__
｢宿儺という爆弾を抱えていても、己は有用であると、そう示す事に尽力して下さい｣
__『半分呪いの身であろうとも、呪詛師の家系の者だろうとも。自分は人間の、呪術師の味方であると、己は有用であると。そう示す事に、Aは尽力すれば良い』
悠仁に掛けた言葉が、幼い頃自身も彼に言われた事と重なった。
『己の有用性』
特級呪物をこの身に宿し半分呪いの身、忌み嫌われる存在であり、排除されるべき存在の私達は、それをこの世界に強く示していかなければならない。
自分はこの世界に必要だと、存在意義を提示しなければならない。
何かと上下関係が蔓延るこの世界で、私と悠仁は人よりもそれらを強く強いられる。
それでも__
｢…俺が弱くて使えない事なんて、ここ最近嫌という程思い知らされてる。でも俺は強くなるよ。強くなきゃ、死に方さえ選べねぇからな｣
彼には、そんな心配は無用だろう。
静かにそう言葉を紡ぐ悠仁を見て、私は安心した。
死に方なんて、『死刑』と私達はもう決まってしまっているのだけれど、それでもやるべき事を全うする為には今は生き延びなければならない。
一度死んでいる身だからこそ、彼の言葉は酷く重く、そして執念が感じられた。
｢そうね。私達に待ってるのなんて死刑一択何だから、それ以外で死ぬなんて真っ平御免よ｣
｢それ！執行猶予中に死ぬなんて御免だよな。ま、一回死んでるんだけど｣
｢｢…｣｣
悠仁と共にそう笑いながら話をすれば、気まづそうな表情で此方を見る二人。
笑い話にしていいものなのかと問われたが、深刻そうな雰囲気で言われたら其れこそ困ってしまうのでは無いのだろうか。
曲げようの無いものは仕方が無いだろう。無理に変えようとしても時間と労力の無駄というものである。
でも、そうね__
｢年老いる迄皆と過ごす人生は、さぞ素敵なんでしょうね。｣
それは、遠回しに『生きたい』という、素直になれない私の願望だった。
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作者名：HamA | 作成日時：2020年12月14日 0時
