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48.fushiguro ページ50

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二年前、茹だるような夏日。

俺はAの仕事の見学をして、報告書を提出したいと言う彼女に付き添い高専に赴いていた。

当時中学二年生だった俺は、度々Aや五条先生に付き呪霊を祓いに行くことがあったのだが、いい経験だと、特級術師から色々学ぼうと意気揚々としている事が多かった。

この日を除いては__




「A、んだよそれ。」


「何って、見れば分かるでしょう。印よ。入れてもらったの。」




事務室に報告書を届け、二人で校舎から出た所で鉢合わせた五条先生は、AのV字シャツから僅かに除く刺青を見て青筋を立てた。

俺はここ数日間、時間短縮の為印を身体に刻みたいというAと、そんなもん入れるぐらいなら自分が幾らでも印を書くという五条先生の言い合いを幾度と無く聞いてきた。

結果、Aは五条先生の意見をガン無視してその白い肌にあまりにも厳つい印を刻んでしまった訳なのだけれど、俺は絶対に巻き込まれなくないと五条先生には黙っていた。

のだが、まさか丁度居合わしてしまうとは運が悪過ぎる。




()言ったよな?辞めろって。」


「頑固な男、仕事の効率を良くする為って何度も言ったわよね?」




双方自分の意見を譲るつもりは毛頭無く、徐々にヒリついていくこの場の空気。

その後、口喧嘩は更にヒートアップして行き、遂には二人共サングラスを外し、戦闘態勢に入り始めた。




「そんなの必要ねえって言ってんだろうがっ…!」


「しつっこいわねっ…!だったら今からこの印の効率性の良さ見してやるわよっ…!」




__ああ、これはマズい。

そう思った時には時既に遅く、Aは自身の指に歯を立て、流れ出る血を身体に刻まれた印に横一文字に塗り付け、詠唱を始めてしまった。




鬼獄門(きごくもん)(かしこ)み畏み申す。(われ)、鬼禱の名に()いてその魂魄(こんぱく)現世(うつしよ)に現し(たま)へ___契門(かいもん)




天邪鬼(あまのじゃく)っ…!」




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作者名:HamA | 作成日時:2020年10月20日 21時

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