31.gojo ページ33
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｢…何でお前がいるんだよ。｣
｢こっちの台詞です。｣
Aに連れられやって来たのは、いつだか硝子に連れられて来た居酒屋。
彼女が酒呑の力を借りた時はこうして御礼として酒を飲みに来るのだが、僕は下戸だから決まってジョッキにメロンソーダだ。
それでも、酔ったAが表情豊かに僕に色々話してくれる姿はとても可愛いので、彼女との飲みは好きなのだが___
｢何で七海がいるんだよ！A！｣
｢A、何の嫌がらせですか。｣
｢二人共お互いの名前出したら行かないって言うでしょ？だから内緒にしたのよ。…ほら、座りましょう？｣
僕との飲みを嫌がらせと言った七海に腹パンを喰らわせ、奥の座敷へと上がるAを追い掛ける。
席に着いた彼女は、慣れたように店員にビールを二つとメロンソーダをジョッキで頼み、僕らにメニューを見せ肴は何が良いかと問い掛けてきた。
少し前に寿司を食べた僕はそんなにお腹が空いていなかったが、細い身体ながらも大食いの彼女は揚げ物やら刺身やら色々と食べたい物を挙げていく。
｢健人くんは？何がいい？｣
｢Aが食べたい物で良いですよ。｣
七海の優しさに有難うと頬を緩めたAは、飲み物を運んでくれた店員に次々と注文をしていく。
取り敢えずの注文を済ませた彼女は僕らにジョッキを手渡し、ジョッキを掲げた。
僕らもそれに
｢久し振りね、三人で飲むの。｣
そう言って楽しそうに微笑む彼女は、運ばれてきた軽いツマミに手を伸ばす。
そんなに酒に強い訳でもないのにジョッキの中は既に半分以下にまで減っており、これは帰りは担いで帰らねばならないなと、彼女の口の端に付いた泡を拭い取りながら思う。
有難うと言った彼女は店員に良い日本酒をくれと、恐らく酒呑の御所望の酒を頼んだ。
｢A、あんまり飲み過ぎないようにな。｣
｢健人くんも悟もいるしどっちかが運んでくれるでしょう？それに、私の我儘で酒呑に手伝って貰ってしまったから沢山飲ませてあげたいの。良いでしょ？｣
そう言いながら彼女は届いた日本酒を口にし、やっぱり強いお酒は苦手だと笑みを零した。
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作者名：HamA | 作成日時：2020年10月20日 21時
