prologue 2. ページ2
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｢クソッ…！｣
男の人は、悲惨な部屋の状態と床に転がる肉塊、そして私を見た後、そう暴言を吐き捨てた。
男の人が血だらけで床に座り込む私の元に近付いて来て、目の前にしゃがんだ時、少しズレたサングラスの向こう側に見えた、宝石の様に輝く瞳。
それに加えて、開いた襖から射し込む月明かりに照らされた、綺麗な白髪。
私と同じ髪色の筈なのに、全く違う物の様に見えた。
｢お兄さん、誰？｣
｢…五条悟。｣
何処かで聞いた事がある様なその名前を、小さな声で復唱する。
男の人改め五条悟は、私の顔に大きな手を添えたかと思えば、左眼の下を優しく撫でた。
顔に付いた血に指が触れ、嫌な水音を立てる。
五条悟はその綺麗な瞳を煌々と輝かせながら、私の左眼を見つめ顔を顰めた。
｢受肉、してる。…呪いも溢れ出してる。｣
発した言葉の意味が分からずに首を傾げていれば、スっと立ち上がり、腰を屈めながら手を差し出された。
その手をどうすれば良いのか分からずに居れば、五条悟が口を開いた。
｢俺と一緒に来るか？｣
ただ一人遺された私に、その手を取らない理由など存在しなかった。
ゆっくりと差し出した手を五条悟は思いっきり引き寄せたと思えば、感じる浮遊感。
目線が今迄見たことがない程に高くなっていて、抱き上げられている事を直ぐに理解する。
伝わる体温に、驚く程安心する自分が居た。
加えて、背中に添えられた暖かな手も相まって、猛烈な眠気が私を襲う。
途切れ行く意識の中、優しい声が耳元で聞こえた。
｢必ず、助けてやるからな。｣
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作者名：HamA | 作成日時：2020年10月20日 21時
