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数分に渡り駄々をこねてみた侑李だったが、見向きもされないとわかると、父の言った通りにするしかないのだと理解する。
侑李は止まらない涙を拭いながら、ゆっくりと立ち上がった。
「…っく……ひっく…」
ずるずるとズボンの裾を引きずって、やっと壁までたどり着く。
動くだけで痛くて、真っ赤に火照ったお尻をさする。
どうして何も言ってくれないの?どうして許してくれないの?と、光に届かない思いを腹立たしくも思ったが、それ以上に侑李は悲しくて、辛くて涙が止まらなかった。
壁に向かって立ちながら、侑李はしくしくと泣き続けた。
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「ただいまぁ!」
しばらくして裕翔が帰ってきた。
「裕翔おかえり」
「ただいま。おっ、カレーじゃん!」
帰ってくるやいなやダイニングキッチンに向かった裕翔は、リビングの奥に立たされる侑李に気づいていない。
「あーもうお腹減った!あれっ、そういえば侑李は…」
ぐるん、と見渡して、やっと気がついたようだ。
ひと目見てお仕置きされたのだとわかり、裕翔は固まってしまう。
「侑李はお仕置き中だから、しばらく放っておいて」
「あ、うん…」
「どうする?裕翔だけ先食べてもいいけど」
「あ〜…俺お風呂入ってくる」
「そっか。ごめんな、お腹減ってるのに」
「ううん」
立たされる侑李を「何したんだろう…大丈夫かな」と心配しながらも、裕翔は部屋を後にする。
そんな裕翔と光の会話は、もちろん侑李にも聞こえていた。
自分があれだけ泣いても無言だった父が、裕翔とは楽しげに話している。
悔しくてたまらなくて、自分だけ別の空間に飛ばされてしまったかのような疎外感がつらかった。
もうどれだけこうしているかわからない。
あれから侑李はずっと、怖くて、不安で、悲しくて。
お尻だって痛かった。
腫れているとわかる痛みと熱さ。
ズキッと疼く痛みにお尻をさすると、触れたことによりさらに痛みだして余計に辛くなった。
「っく、ひっ…」
泣きすぎて胸のあたりがひくひくしている。目も痛い。
どうして許してくれないのか。
許してもらえないことが辛くてそればかり考えていたが、時間が経てば経つほど冷静になってくる。
悪いことをした。それをわかっていたのだから、謝ればよかったのだ。
プライドも意地も張らずに、素直に悪かったことを認めていればよかったのだ。
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みつあめ(プロフ) - みゆうさん» リクエストは受け付けておりますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。なかなか思うように書けていなくて時間がかかります。 (2021年2月4日 20時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - 有岡が遅刻してなかなか反省せずに怒られるのをお願いします!侑李と危険な遊びくらいのをお願いしたいです!現実設定でお願い致します。こちらの内容たのしみにしております!お忙しいと思いますが、よろしくお願いいたします。 (2021年1月31日 18時) (レス) id: 7c2230dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - みゆうさん» なかなかお返事ができなくてすみません!リクエストとパスワードについて、長くなりそうなのでメッセージでお返事させてもらいます!マイボードの通知を確認していただけると助かります。 (2020年9月27日 13時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - FC2ブログの僕らを取り巻く世界のパスワードを、教えていただきたいです。 (2020年9月27日 6時) (レス) id: 7c2230dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - リクエストよろしいでしょうか?有岡が遅刻してなかなか反省せずに怒られるのをお願いします!侑李と危険な遊びくらいのをお願いしたいです!現実設定でお願い致します。 (2020年9月24日 17時) (レス) id: 7c2230dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みつあめ | 作成日時:2020年9月22日 13時