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小さく背中を震わせて泣きじゃくっている侑李を膝から抱き起こす。
「っぅ…えっ…」
ぺたりと床に力なく座り込む侑李だが、光はその腕を引っ張り上げる。
「どうして?」と光を見上げる顔は、許してもらえたと思っているようだ。
「立って」
言われた一言に、まだ許されないのかと侑李は真っ赤になった目を見開く。
気持ちはだいぶ限界に近いようで、甘えるようにふるふると首を振った。
「ぃゃっ…むりぃっ…」
「じゃあ立たなくていいけど、そのかわり正座だよ?」
「!やだぁっ…」
腕を掴まれたまま、駄々をこねるように嫌だと首を振り続ける。
もう許してほしい、という気持ちが伝わってくるが…本当の意味で反省できていない侑李を許すわけにもいかない。
「立つ、」
「ゃっ…むり…」
「…侑李、甘えるのもいい加減にしなよ。立て」
「っ!…」
有無を言わさない口調になって、初めて侑李は怯えた顔になった。
それまで心のどこかで『甘えれば許してもらえる』と思っていた気持ちが一瞬で吹き飛んだようで、恐る恐る光を見上げる。
「立て。早く」
「っ…」
ゆっくりとそれに従った侑李。
先ほどまでとはまた違う緊張感が走る。
なり振り構わず泣いていた少し前までも余裕などないように見えたが、今はさらに…本当に余裕のない表情になっていた。
何を言われるのかと、侑李は怖々と父を見る。
「そこの壁のところに行って、頭冷やしてきな」
「っ、……お、おとー…さんっ…」
「反省できそうになったらおいで。それまでそこに立ってよく考えな」
「…ぅ、…」
すがるように言った言葉も遮られてしまい、嫌だったが、嫌とは言えなかった。
許してもらえるなんて甘く見過ぎていたのかもしれないと思わされる真剣な目に圧倒された。
戸惑う侑李を他所に、光はというと何でもないようにダイニングキッチンの方へと行ってしまった。
先程まで厳しくお仕置きしていたとは思えないほどテキパキと夕食の準備を始めている。
そんな光景に、急に危機感と不安が押し寄せた。
「…ぅ……ぐすっ……。ねぇっ……」
「……」
「ねぇってば……。うぅ…おとーさっ…」
ソファの横に取り残された侑李は、その場に立ち尽くしたまま小さく泣き始めた。
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みつあめ(プロフ) - みゆうさん» リクエストは受け付けておりますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。なかなか思うように書けていなくて時間がかかります。 (2021年2月4日 20時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - 有岡が遅刻してなかなか反省せずに怒られるのをお願いします!侑李と危険な遊びくらいのをお願いしたいです!現実設定でお願い致します。こちらの内容たのしみにしております!お忙しいと思いますが、よろしくお願いいたします。 (2021年1月31日 18時) (レス) id: 7c2230dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - みゆうさん» なかなかお返事ができなくてすみません!リクエストとパスワードについて、長くなりそうなのでメッセージでお返事させてもらいます!マイボードの通知を確認していただけると助かります。 (2020年9月27日 13時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - FC2ブログの僕らを取り巻く世界のパスワードを、教えていただきたいです。 (2020年9月27日 6時) (レス) id: 7c2230dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - リクエストよろしいでしょうか?有岡が遅刻してなかなか反省せずに怒られるのをお願いします!侑李と危険な遊びくらいのをお願いしたいです!現実設定でお願い致します。 (2020年9月24日 17時) (レス) id: 7c2230dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みつあめ | 作成日時:2020年9月22日 13時