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侑李がしくしく泣きだした頃、同室の圭人は落ち着きなく隣を気にしていた。
カーテンを仕切っているが、その奥にいる圭人のところには何から何まで筒抜けだ。
ベッドの上で本を読んでいた圭人は、心配な気持ちでチラチラと仕切りを見つめた。
ぱしんっ! ぱしんっ!
「いや!やだ!!」
ぱしんっ!
「やだって〜〜〜っっ!!」
「侑李、反省したの?もうやならい?」
「うぅ…やっやらないからぁ!もうわかったぁ!」
「お薬、ちゃんと飲める?」
「んっ…ふぇ……ちゃんと、飲むぅっ…」
約束をしたところで、雄也は侑李を抱き起した。
今度は向かい合うように膝に座らせる。
「いい子。よく言えました」
「んんっ…ひっく…ふぇぇ〜っ…」
「泣かない泣かない。もう怒ってないから」
「ないっ、てなっ…」
お仕置きをしてもやっぱり意地っ張りは変わらないな、と「泣いてない」と言い張る侑李に苦笑した。
ただ、わかってくれたことにほっとする。
侑李の涙が落ち着くと、雄也は新しい薬の袋を取り出した。
「はい、再チャレンジ」
「…ぅ、」
「…ね、苦いのが嫌なんでしょ?ほら、持ってきたからこれで飲んでみな?」
雄也が薬と一緒に取り出したのは例のゼリー。
侑李はやはりそれに抵抗があるのか、ゼリーを見てさらに膨れた。
「もー…。意地張らないで使ってみな?」
「…んっ」
押しに負けて…というよりも、このまま飲めずにまたお尻を叩かれたらどうしようという考えがよぎって、侑李はそれを受け取った。
ちいさな子供みたいで嫌だとつっぱねていたゼリー。使って飲んでみると、
「…!飲めた…」
「ほら、これなら飲めるでしょ?」
「…うん」
あんなに苦くて嫌だったのに、苦みを感じることなく飲むことができた。
粉薬を飲むのがつらくなかったのは初めてのことだ。
よしよしと頭を撫でられ、悪い気はしない。
少しまだお尻は痛いが、これから嫌な粉薬もなんなく飲めると思うと気持ちが軽くなる侑李なのだった。
・
(おまけ)
侑李は3人の看護師を思い浮かべる。
ひか、ゆうや、だいき…
「…やっぱりいちばんチョロいのはだいきかな」
「ん?なに?なんか言った?」
「なんでもなぁい」
検温に来た大貴ににこりと微笑む、小悪魔な侑李なのだった。
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みつあめ(プロフ) - みゆうさん» リクエストは受け付けておりますので、もうしばらくお待ちいただければと思います。なかなか思うように書けていなくて時間がかかります。 (2021年2月4日 20時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - 有岡が遅刻してなかなか反省せずに怒られるのをお願いします!侑李と危険な遊びくらいのをお願いしたいです!現実設定でお願い致します。こちらの内容たのしみにしております!お忙しいと思いますが、よろしくお願いいたします。 (2021年1月31日 18時) (レス) id: 7c2230dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - みゆうさん» なかなかお返事ができなくてすみません!リクエストとパスワードについて、長くなりそうなのでメッセージでお返事させてもらいます!マイボードの通知を確認していただけると助かります。 (2020年9月27日 13時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - FC2ブログの僕らを取り巻く世界のパスワードを、教えていただきたいです。 (2020年9月27日 6時) (レス) id: 7c2230dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - リクエストよろしいでしょうか?有岡が遅刻してなかなか反省せずに怒られるのをお願いします!侑李と危険な遊びくらいのをお願いしたいです!現実設定でお願い致します。 (2020年9月24日 17時) (レス) id: 7c2230dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みつあめ | 作成日時:2020年9月22日 13時