あ ろっと おぶ…らぶ ▽７

わたしのお兄ちゃん Ym/You ページ13

▽慧お兄ちゃんと涼介(お兄ちゃん)と妹





*



アパートの部屋に明かりがついていた時点で、嫌な予感がしていた。



「よ、おかえり」

「なんで…」

「何が？」

「いや、え？なんで涼介がいるわけ！？」

「なんでって、母ちゃんに頼まれたから」



今日兄ちゃんいねんだろ？と涼介。
涼介もまたAと2つ歳の離れた兄なのだが、彼のいう『兄ちゃん』とは一番年上の兄、慧のことだ。

慧は社会人で、高校2年生のAと一緒にこのアパートに住んでいた。
Aが通うことになった高校は実家から通うとなれば電車でだいぶかかるということで、学校にほど近い慧のアパートに一緒に住むことになったのがきっかけだった。

親は少し心配していたが、慧が面倒を見るということで了承された。
ただ、慧にも仕事がある。どうしても帰りが遅くなることだってあるのだ。今日のように。



「ほんと、ママってばお節介…」

「そりゃ心配だろ、」

「心配しなくたって！お兄ちゃん帰ってこないわけじゃないのに！」

「でも日付跨ぐって話だろ？そんな時間までアパートに1人にするのはさすがに心配だろ」



普段はほとんど定時で帰ってくる慧。
仕事の関係でたまに遅い時もあるが、それでも夜の10時前までには帰ってくるホワイトぶり。

だからこそAを任せられたのだが、今日は帰りが深夜12時を過ぎるとあらかじめわかっていた。


そして事情を知っていた母が、アパートに一人になる娘を心配して涼介を送り込んだというわけらしい。

Aにとってはいい迷惑だ。


なぜなら、口うるさい兄に門限をとやかく言われずに済むと思い、門限無視で遊びまくっての帰宅だったからだ。



「…ところで、今何時だと思ってる？」

「っ、」



涼介の雰囲気が変わって思わず目を逸らす。
何時だと思う？という質問の仕方が慧にそっくりで嫌気がさす。



「見たらわかんじゃん…」

「お前に聞いてる」

「っ、なんでよぉ！そんないじわるな聞き方しなくたって11時過ぎてんのなんてわかるじゃん！！」

「門限は？」

「…8時だけど…」

「はぁ…わかってて破ったろ？」



もちろんそうに決まっている。
普段は厳しく門限を言い渡されているのだから。守らなければ昔からのお仕置き付きで。

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