あ ろっと おぶ…らぶ ▽７

侑李と危険な誘い▽スピンオフ▽ ページ12

そっとリビングの扉を開けると、カレーのいい香りが鼻腔をくすぐる。


まだ立たされていたらどうしよう。
そんな不安もあったが、ソファには光に膝枕をしてもらってすやすや眠っている侑李が。

裕翔は安心してリビングに入ることができた。



「…あ、おかえり」

「うん。…侑李、大丈夫？」

「もう終わったから大丈夫。…あーでもごめん。ご飯、やっぱり先に食べな？」



侑李、起こしたら悪いから。と光。裕翔は苦笑して頷いた。


茄子、カボチャ、パプリカと色鮮やかな具材が煮込まれた夏野菜カレー。
隣には焼きトマトに揚げたレンコン、オクラと唐揚げのトッピングもあり、裕翔は目を輝かせた。

仕事柄、父はとても器用で、料理はお手の物。実は調理師免許まで持っていた。
そんな光のご飯を食べることは1日に3度ある贅沢な楽しみだった。



「…でさ、侑李はいったい何したの？」



全乗せトッピングのカレーをリビングに運んできた裕翔は、ソファに座る光を見上げて聞いた。




「んー…。まぁ、色々あったみたいなんだけど…」



光は今回のお仕置きに至るまでの経緯をかいつまんで説明してやる。
裕翔はカレーを口に運びながら時に驚き、時に侑李に同情しながら聞いていた。



「そんなことあったんだ…。最近、放課後全然一緒にいれないから知らなかった」

「涼介が注意してくれてたみたいなんだけどさ、侑李、涼介にも甘えてるから」

「あー、そうだね」



裕翔はくすりと笑って、興味本位で手を伸ばす。
侑李のお尻に乗っている大きな保冷剤を持ち上げてタオルをめくると、赤みが引きそうもないほど腫れていた。



「うっわ…超痛そう…」



見なきゃよかった、と裕翔は身震いしてタオルを戻す。



「侑李、意地張りすぎだよ…。これ、しばらく仰向けで寝るのもキツいんじゃない？」

「…可哀想なことしちゃったかな、」

「うーん。可哀想だけど…侑李も悪いもんね」



よしよしと頭を撫でてあげている裕翔の言葉に、光は少しだけ救われた。



「侑李に何もなくてよかった」

「そうだな」

「…でもずるいなぁあのゲーム…イヤホンも！俺も欲しかったんだけど…」

「…わかったよ、買ってあげる。特別ね」

「ほんとっ？絶対だよ、聞いたからね俺！」

「ちょっ、裕翔！」



しっ！と唇に指を当てればピタッと大人しくなって、カレーの続きを食べ始める。


いくつになっても可愛い息子たち。
どんなに泣かせてしまっても、光の中でその気持ちだけは変わらない。

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