あ ろっと おぶ…らぶ ▽３

ひかと大ちゃん、そのいち。 Hk/Ar ページ19

▽ひかあり兄弟3部作(予定)

一人称のところは全て光くん視点です。



・




*



昔々…そんなに昔じゃないけれど、あるところに年の離れた兄弟がいました。


4歳の大貴くん、弟。大ちゃん。

高校1年生の光くん、兄。ひか。


可愛い年の差兄弟を、2人の成長と共に見て行きましょう…




*




・



「光、買い物行ってきて〜？」



休みの日、母さんに買い物を頼まれた。
まぁ、それは別にいいんだけど…



「だいちゃもいく！」



それを聞いてた大ちゃんが元気よく手を挙げた。
俺はちょっと気が重い。



「えー…大ちゃん、絶対ワガママ言うでしょ」

「いわないもんっ！ねーえー、いいこしゅるからー！」



その自信はどっからくるんだか。

俺の足にしがみついておねだりする大ちゃん。
可愛いんだけどね…



「ほら光、連れてってあげて？いい子にするって言ってるし」



可愛いからこそ、大ちゃんには激甘な母親。
そのせいでもともとヤンチャな大ちゃんは、ますます手に負えなくなっていってる。



「…もー、仕方ないなぁ…」

「やった！！ママー、おかしかってきてもいいー？」



ほら、先行き怪しすぎ。




・




「ひかぁー、だいちゃつかれたぁ、おんぶー…」

「大ちゃんがついて来たいって言ったんでしょ？ちゃんと歩いて」



ワガママ放題はダメだから、俺だけでも厳しくしようって思ってるんだけど…大ちゃんは不満みたい。

ぶつくさ言いつつ俺の服の裾を握りながら付いてくる。



「ねぇひか、おかしはー？」

「お菓子は最後ね」



なんとか買い物を終えてお菓子コーナーに。
勢いよく走っていって、大ちゃんが持ってきたお菓子は２つ。



「こら、一個だけって決まりだろ？」

「ひかちゃ、おねがい〜」



こーいう時だけ『ひかちゃん』とか言って甘えんの、どこで覚えてくるんだよまったく。



「だめ。どっちか置いてきて」

「やだやだ、かって！」

「ワガママしないんじゃなかったの？」

「わがままじゃない！ママはかってくれるもん！」



出たよママ。

本当は母さんと来る時も『お菓子は一個』のはずなんだけど、いつも２つ買ってもらってるんだろうな。



「俺は母さんと違うから。ほら、どっちか置いてきて？」

「むっ…」

「早くしないと、どっちも買ってあげないよ」

「…っもー！ひかのいじわるっ！」



大ちゃんはそう言って、俺にお菓子の箱を投げつけた。

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