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「すっごいね!綺麗だったね!」

「そうですね(笑)」



習い事の帰り、本来ならすぐに帰らなければいけないのだが、圭人は車を花火大会の会場へと走らせた。

少し見て帰るつもりでいたのだが、建ち並ぶ出店に興味を持った涼介が行ってみたいとおねだりし、
色々と回っているうちにだいぶ時間が過ぎてしまった。


どう言い訳しようと頭を悩ませる圭人とは裏腹に、
涼介はその体験があまりにも嬉しかったようで、
内緒で花火大会に行ったということは頭から抜けていた。


家の中に入ると、執事の中でも1番偉い執事長の中島が駆け寄ってきた。



「坊ちゃん!」

「ゆーとっ!ただいまっ」

「こんな時間まで何をしてたんですか!」



言葉を被せるようにして厳しい顔つきで言われた涼介は、やっと今の状況を思い出す。



「あ…えっと…あの…」

「圭人、あなたの責任ですよ?」

「すみませんでした執事長さま!」



うろたえる涼介の横で、圭人はガバッと頭を下げて謝った。



「坊ちゃんをこんな時間まで連れ回すなんて…!」

「すみません…!」



涼介は目をぱちくりさせながら中島と圭人の顔を交互に伺った。
自分が無理を言って花火大会に行かせてもらったのに、圭人が悪いことになっていたからだ。



「ゆーと、ちがうの!ボクが行きたいって言ったから…」

「あなたには、それ相応の罰を受けてもらいます」

「はい…」

「まって!ボクが悪いの!だからっ…」



涼介の訴える声は中島には届かない。

確かに涼介は悪いことをした。しかし、それはお付きの執事である圭人の責任なのだ。

それが執事と主人の関係性なのだから仕方のないことだが、まだ幼い涼介には理解できなかった。



「涼介さま、圭人は大丈夫です。…ほら、早くお部屋に戻ってください」

「でもぉっ…」



圭人は泣きそうになっている涼介の前にしゃがんで言い聞かせるが、涼介は嫌だと首を振る。



「…すみません、執事長さまのお部屋に行くのは、涼介さまをお部屋にお送りしてからでもよろしいですか?」

「…21時までには来るように」

「はい」

「やだぁ!けーとっ…」



執事が叱られるということはどういうことか、
そしてこの家の執事教育は厳しいということを涼介は知っていた。


圭人のことを心配して部屋へ戻るのを拒んでいたが、圭人は嫌がる涼介を部屋に送り届け、執事長の部屋へと向かった。

・→←坊ちゃんと優しい執事 Yt/Kt Kt/Ym



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みつあめ(プロフ) - LEONさん» ありがとうございます!幼児化シリーズも、また書きたいなぁと思ってます(^^) (2018年4月21日 15時) (レス) id: 9af1721976 (このIDを非表示/違反報告)
LEON(プロフ) - 幼児化シリーズがすきです。チビっこ、かわいいー。 (2018年4月19日 21時) (レス) id: d2b955669e (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - オム岡ライ貴さん» 移行完了しました!これからもどうぞよろしくお願いします(^^) (2018年2月22日 19時) (レス) id: 9af1721976 (このIDを非表示/違反報告)
オム岡ライ貴(プロフ) - ほんとですか!楽しみに待ってます!! (2018年2月21日 16時) (レス) id: 3d51e6317d (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - オム岡ライ貴さん» まだです(>_<)今日か明日にはできると思います!もう少々お待ちください(笑) (2018年2月21日 15時) (レス) id: 9af1721976 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みつあめ | 作成日時:2017年10月16日 3時

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