あ ろっと おぶ…らぶ ▽１

Yb/Hk.Ar ページ19

「あ、あのぅ…」



控えめな声が聞こえて、メンバーが一斉に振り向いた。
楽屋の入り口に立ってたのはマネージャーだったんだけど…



「…あの、これ…どうしたらいいですか…」



青ざめたマネージャーが腕に抱いてたのは、小さい男の子。
サラサラの黒髪に涙がちなくりくりした目、もちもちしたほっぺたは何だか見覚えがあって。



「…これ、有岡さんです…」

「ぐすっ…うぇぇんっ…」

「「だ、大ちゃん！？」」



それは、光と同じように幼児化した大ちゃんだった。


・




・




・


ぱちんっ！！ぱちんっ！！


「うわあ゛ぁあんっ！！」

「いたぃい゛っ！！」



あれから10分。

ちび光とちび大ちゃんは2人とも薮の膝の上で大泣きしてた。
もちろん、2人とも子供みたいにお尻ペンペンのお仕置き中…。


その原因といってもいい、この謎の幼児化。

どうして2人がこうなったのかは、マネージャーに抱っこされた大ちゃんが泣きながら教えてくれた。



「きのう、ひかと、のんでてっ…」

「うん、」

「かえりに、みちでもらった、みず…ペットボトルの…」



大ちゃん(幼児)によると、昨日帰りに道で試供品の水配ってて、
大ちゃんはお酒飲んだ後だしちょうど良いからって、もらってすぐにその水を飲んだ。


光は押し付けるみたいに配ってたその水を怪しいって言ってたみたいだけど、
とりあえずもらって持って帰ったらしい。

光は酔ってたから、その一連の事を忘れてたみたい。
だから“家によく分からない水がある”って状況だったわけね。


つまりは、その水が光と大ちゃんを幼児化させたわけ。


大ちゃんは朝起きた時点で幼児化してて、
パニックになって、迎えに来るマネージャーに電話。

光はその水を朝飲んだから、仕事場に来てから幼児化して…ってことみたいだけど…
事実が分かっても俺はまだちょっと頭が追いつかない。


まぁでもそれは、起きたことだから仕方ない。

問題は、



「まったく…2人とも何やってんの！」


ぱちんっ！！ぱちんっ！！


「うわぁああっ！やだあぁあっ！！」

「いたあぁいっ！！ごめんなさい〜っ！」



この、異常な光景でしょ。


中身は20代なのに幼児化した体でお仕置きされてて、
他メンバーはいつも通り楽屋で過ごしてる…っていう、この状況。


マネージャーが大ちゃんを連れてくるまでは光だけだったんだけど、
同じように不注意から幼児化したってわかって、薮は大ちゃんも一緒に膝に乗せてしまった。

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