その3 ページ30
*
缶ビール片手に、なんとなくテレビを眺める。
映し出されているのはオールスター戦。
西川選手にホームラン予告なんかされたものだから、見ないというわけにはいかなかった。
まぁ、それでも、本当に打つとは思っていなくて。
だからスマホを弄ったり、適当にお菓子食べたりと、なんとなく見ていたのだ。
だけれども、
『さぁ!入りました!!西川遥輝!ホームラン!!』
テレビの向こう側から流れている、何度か耳にした某アナウンサーの声。
(.....嘘でしょ?)
危うく缶ビールを落としそうになったのは言うまでもない。
テレビの前へ近づいて、しっかりとその姿を見る。西川選手の笑顔はキラキラと眩しい。
「...本当にやっちゃうんだ」
思わず独り言を呟くほど感激しているわけであって。
その姿は何度も球場で、目の前で見たことあるはずなのに。
なんだかこうして他人事のように見ていると、別のワクワク感とか謎の感動とか生まれてくるわけなのだ。
...相手はあの西川選手なのだけど。
今ならなんとなく、あの選手が女性に人気がある理由がわかる。
カッコいい、
なんて素直に思える自分がいた。
床に放り投げていたスマホを取り出し、西川選手とのトーク画面を開く。
ホームラン、凄く格好よかったです。
ほぼ無意識でそう打っていて。
(いやいやいや!なにしてんの?私!)
.....これじゃあ、
これじゃあ、まるで、
私が西川選手に好意を示しているみたいではないか。
...いや、まぁ。そう思ったのは事実なんだけれど。
結局トーク画面を閉じて、再びテレビに目を移す。
自分が意地っ張りで素直じゃないことくらい昔から知っている。
だから、こんな私を好きだという西川選手は謎な存在なのだ。
(じゃあ私は西川選手のこと、どう思ってるの?)
ふと浮かぶのは、いつかも自分自身にしたこの問い。
「そんなの、...今はわかるわけない」
渦巻くたくさんの感情は無視をした。
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梓(プロフ) - みやさん» 死ぬほど行きたかったんですけど、用事があって行けないんですー!スカパーにも入ってないので、色々と諦め気味です(笑) (2017年11月23日 20時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 了解です!ファンフェス近いですねー!梓さんは見に行かれますか? ちなみに私はGYAORAで見ます(笑) (2017年11月23日 17時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - みやさん» 選手の名前言っちゃうと住んでるとこ特定されちゃうんで言えないです(笑)他県に住んでいるんですか?北海道寒いけど良いとこなんでぜひ来てみてください!ついでに、札幌ドームで野球見ていってください!(笑) (2017年11月23日 16時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 誰とあったんですか〜?(笑) 羨ましい! 北海道にいきたい(笑) (2017年11月23日 13時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 | 作成日時:2017年10月30日 22時