・距離なんて その1 ページ28
*
テーブルの上で振動するスマホの音で目が覚める。
時計は11を指そうとしている。どうやら、いつの間にか寝てしまっていたようだ。
今日は北海道からでて、明日の試合に向けて練習していたところであった。
スマホは振動し続けている。
「誰や...こんな時間に、」
目には入るのは石川慎吾の文字。
LINEなんかはしょっちゅうだったが、電話はかなり珍しい。しかも、こんな時間に。
若干の不信感を抱いたまま、タップする。
「あ、遥輝さん？すいません、夜なのに」
「いや、ええけど。どうしたん？」
「.....今日Aと飯行ってきました」
「...おう、」
なるべく感情を殺して答える。動揺を悟られないように。
いやいや、でもAと飯行くくらいなんだってないだろ。そもそも前にその話したし。
けど、なんでアイツの下の名前？
つい最近までは成瀬ちゃんって呼んでたやろ。
スマホを耳に当てたまま、もしかして慎吾も？と不安になる。
それでも、
いや、ないやろ、と打ち消す。
むしろ、そうあって欲しくないと願う。
だが、
「俺.....、俺もAのこと好きみたいです」
そうは上手くいかないみたいだ。
「...いつから？」
「初めて会った交流戦の時から」
正直驚いてはいるけれど、仰天びっくり、というほどではなかった。
それは、どこか自分でその可能性を感じていたからなのだろうか。
「俺は譲る気あらへんで？」
その声は意外と穏やかなものだった。
まるで、いつもの馬鹿してる時と同じように。
実際俺の口角は若干上がっていたと思う。
「そんなん俺も一緒ですよ」
慎吾も同じように笑って答える。
「ちなみにですけど、A遥輝さんのこと何て呼んでます？」
「西川選手...やけど？」
「おっ？勝ちましたね」
ケラケラと声を上げる慎吾は、もういつものクソガキだった。
「なんやねん、それ。お前のこと何て呼んでるんだよ？」
「下の名前っす」
マジかよ。俺が何ヵ月もかけても出来なかったことをお前は一日で...。
普通だったら距離が出来ていてもおかしくないのに、普段のように接することができるのは慎吾だからなのだろうか？
「明日早いんすよね？」
「まぁ、そうやな」
「ダイジェストで見とくんで、頑張ってください」
そう言って通話を切られる。
生で見とけ、というツッコミは届かない。
「あぁ、早くAに会いてぇ」
当然そんな俺の呟きも彼女には届かない。
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梓(プロフ) - みやさん» 死ぬほど行きたかったんですけど、用事があって行けないんですー！スカパーにも入ってないので、色々と諦め気味です(笑) (2017年11月23日 20時) (
レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 了解です！ファンフェス近いですねー！梓さんは見に行かれますか？ ちなみに私はGYAORAで見ます(笑) (2017年11月23日 17時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - みやさん» 選手の名前言っちゃうと住んでるとこ特定されちゃうんで言えないです(笑)他県に住んでいるんですか？北海道寒いけど良いとこなんでぜひ来てみてください！ついでに、札幌ドームで野球見ていってください！(笑) (2017年11月23日 16時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 誰とあったんですか〜？(笑) 羨ましい！ 北海道にいきたい(笑) (2017年11月23日 13時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梓 | 作成日時：2017年10月30日 22時
