・入り交じる その1 ページ21
*
「成瀬、ちょっと」
とある日の試合後。
先輩トレーナーが私を手招きする。
「はい...？」
なんだろう？なんてクエスチョンマークを浮かべて着いていく私。
誰もいない廊下で向かい合う。
えっと.....、私なんかした？
先輩がゆっくり口を開く。
でも、それは予想外のことだった。
「急で悪いんだけど、明後日からファームに行ってほしい」
「はい？」
なんの冗談だ？なんて思ったが、先輩の顔はいたって真剣。
あー、もしかして私が力不足すぎるからファーム行けってこと？
「あ、ずっとじゃないから。5日間だけ、」
.....。
ますます意味がわからない。
・
先輩の話によると、どうやらファームのトレーナーが諸事情により一人少ないらしい。
そして、明後日からオールスター戦が始まり、ファイターズの試合は5日間ない。
そこで、助っ人として私を送り込もう！ということなのだ。
「本当急で悪いんだけど、いいかな？」
それなら断る理由はない。
「もちろん大丈夫です！」
「良かった。じゃあよろしく」
「詳しいことは現地に行ったら分かるから」と先輩は私に背を向けた。
こうやって一年目の私を頼ってくれるのは、凄くありがたいことだと思う。
「なにニヤニヤしとんの？」
頭上から声が降ってくる。
振り返ると、そこには私服の西川選手。相変わらず髪の毛は爆発している。
「いえ...。あの、私オールスター戦の間ファーム行きます」
「は？なんで？」
「いろいろあるんですよ」
「ふーん.....。まぁ、どっちにしろAには会えんけどな」
「あぁ、オールスター選ばれてましたよね」
「卓さんいるだろうから、楽しんできなよ」
そうだった。中島選手、離脱したからファームにいるんだ。
「そうですね。西川選手も頑張ってください」
私がそう言うと、何故か西川選手は黙りこんでしまった。
かと思えば、私の頭に手を伸ばし、
「ちょっと...、なんですか？」
ガシガシと乱暴に髪を撫でる。でも、その表情はニコニコととても嬉しそうだった。
「いや、嬉しいなって」
「.....なんだそれ、」
私はそう小さく呟いた。多分それは西川選手には聞こえていない。
その代わり、私の頭を撫でる手は優しいものになっていた。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 557人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梓(プロフ) - みやさん» 死ぬほど行きたかったんですけど、用事があって行けないんですー！スカパーにも入ってないので、色々と諦め気味です(笑) (2017年11月23日 20時) (
レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 了解です！ファンフェス近いですねー！梓さんは見に行かれますか？ ちなみに私はGYAORAで見ます(笑) (2017年11月23日 17時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - みやさん» 選手の名前言っちゃうと住んでるとこ特定されちゃうんで言えないです(笑)他県に住んでいるんですか？北海道寒いけど良いとこなんでぜひ来てみてください！ついでに、札幌ドームで野球見ていってください！(笑) (2017年11月23日 16時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 誰とあったんですか〜？(笑) 羨ましい！ 北海道にいきたい(笑) (2017年11月23日 13時) (携帯から) (レス) id: 91f229b3cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梓 | 作成日時：2017年10月30日 22時
