検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:82,361 hit

#35 ページ36

*



「大丈夫なん?あれ...」

やはり、さっきのことには納得できなくてポツリと漏らす。
隣で歩く卓さんが、大丈夫じゃないやろ、とすました顔で言う。


「石川も石川っすよね。柊ちゃん無視して帰るとか...」



いや、でも、まぁ...、

柊ちゃんが追い返したなら別の話なんやけど。



「あ、」

突然隣の卓さんが声を上げ、横を見る。
それにつられて俺も視線を向かせると...、


「石川、」

当の本人がいるわけであって。



「あれ?ファーム行くんやなかったっけ?」

「ロッカーに忘れ物したんで取りに」


なるほどね、と呟く卓さん。

これ以上会話が続くことはなく、石川は会釈をして通りすぎようとする。



「ちょっ、石川。待って」

さっきの柊ちゃんと同じように石川の腕を掴んだ。コイツの方がいくらか身長が高いため、少しだけ顔を上げることになる。



「あのさ、石川...、」

「やめとけって」


俺が言葉を探していると、卓さんが間に割って入る。


「いや、でも卓さん」

「俺たちが口を挟むことじゃないやろ」

「それはそうなんすけど...」


そんな俺らの会話を聞いて、クエスチョンマークを浮かべまくっている石川。
その姿を見て少しだけ苛ついたのは事実。

コイツ、ほんまにわかっとんのか?



なのに卓さんは、そんな素振りを全く見せない。


「悪い、石川気にしなくてええから」

「...そうですか」

「あー、でも」


今度は卓さんが石川を止める。


「お前、ちゃんと自分の気持ちには素直になった方がいいぞ」

「.....あ、はい」


分かっているのか、そうではないのか、
石川は全く表情を変えず返事をして、歩いていった。


柊ちゃんの告白なんか聞いてなかったんじゃねーの?

なんて疑問が浮かぶほど。



「てか、卓さん。関わんないじゃなかったんすか?」

「あー、まぁ、遠回しにってことで。...お前、さっきどストレートに聞こうとしたやろ?」

「確かにそうかもしんないすけど...」




「早く解決するとええんやけど、」

卓さんが小さな声でそう呟く。恐らく一人言のつもりだったんだろうが。



どちらにせよ、ここは卓さんに同感だ。





(やって、今の柊ちゃんは静かすぎて逆に怖い)
*

#36→←#34



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (98 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
210人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 如月明日香さん» ありがとうございますー!如月さんのコメントはどれも嬉しいものばかりですよ(_ _)ちょくのことが好きになってくれたのなら嬉しいです(笑)最後まで読んでくださりありがとうございました! (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雛*さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると凄く嬉しいです(^^;番外編の方もよろしくお願いします! (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
如月明日香(プロフ) - 完結〜〜!おめでとうございます! このお話で私は石川選手が好きになり、なんと実際に石川選手のタオルも買ったんです〜〜! それくらい、引き込まれる作品で、石川選手の魅力が詰まったお話でしたっ! 本当にこのお話大好きです!! 本当におめでとうございます! (2017年12月5日 0時) (レス) id: eed9e6c20a (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - はぁ……完結お疲れ様でした(;;) 終始ニヤニヤしっぱなしでした……´`* 素敵なお話をありがとうございました〜〜!! 番外編も楽しみにしてます◎ (2017年12月5日 0時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - わ、わ、わ…! ほんとですか(;;) ふ、ファンだなんて恐れ多いです;;ありがとうございます´`* ちょくくんファンなので、ちょくくんの作品があるのが嬉しくて…!*゚ これからも楽しみにしてますね〜◎ (2017年12月1日 14時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2017年10月14日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。