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「大丈夫なん?あれ...」
やはり、さっきのことには納得できなくてポツリと漏らす。
隣で歩く卓さんが、大丈夫じゃないやろ、とすました顔で言う。
「石川も石川っすよね。柊ちゃん無視して帰るとか...」
いや、でも、まぁ...、
柊ちゃんが追い返したなら別の話なんやけど。
「あ、」
突然隣の卓さんが声を上げ、横を見る。
それにつられて俺も視線を向かせると...、
「石川、」
当の本人がいるわけであって。
「あれ?ファーム行くんやなかったっけ?」
「ロッカーに忘れ物したんで取りに」
なるほどね、と呟く卓さん。
これ以上会話が続くことはなく、石川は会釈をして通りすぎようとする。
「ちょっ、石川。待って」
さっきの柊ちゃんと同じように石川の腕を掴んだ。コイツの方がいくらか身長が高いため、少しだけ顔を上げることになる。
「あのさ、石川...、」
「やめとけって」
俺が言葉を探していると、卓さんが間に割って入る。
「いや、でも卓さん」
「俺たちが口を挟むことじゃないやろ」
「それはそうなんすけど...」
そんな俺らの会話を聞いて、クエスチョンマークを浮かべまくっている石川。
その姿を見て少しだけ苛ついたのは事実。
コイツ、ほんまにわかっとんのか?
なのに卓さんは、そんな素振りを全く見せない。
「悪い、石川気にしなくてええから」
「...そうですか」
「あー、でも」
今度は卓さんが石川を止める。
「お前、ちゃんと自分の気持ちには素直になった方がいいぞ」
「.....あ、はい」
分かっているのか、そうではないのか、
石川は全く表情を変えず返事をして、歩いていった。
柊ちゃんの告白なんか聞いてなかったんじゃねーの?
なんて疑問が浮かぶほど。
「てか、卓さん。関わんないじゃなかったんすか?」
「あー、まぁ、遠回しにってことで。...お前、さっきどストレートに聞こうとしたやろ?」
「確かにそうかもしんないすけど...」
「早く解決するとええんやけど、」
卓さんが小さな声でそう呟く。恐らく一人言のつもりだったんだろうが。
どちらにせよ、ここは卓さんに同感だ。
(やって、今の柊ちゃんは静かすぎて逆に怖い)
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梓(プロフ) - 如月明日香さん» ありがとうございますー!如月さんのコメントはどれも嬉しいものばかりですよ(_ _)ちょくのことが好きになってくれたのなら嬉しいです(笑)最後まで読んでくださりありがとうございました! (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - 雛*さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると凄く嬉しいです(^^;番外編の方もよろしくお願いします! (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
如月明日香(プロフ) - 完結〜〜!おめでとうございます! このお話で私は石川選手が好きになり、なんと実際に石川選手のタオルも買ったんです〜〜! それくらい、引き込まれる作品で、石川選手の魅力が詰まったお話でしたっ! 本当にこのお話大好きです!! 本当におめでとうございます! (2017年12月5日 0時) (レス) id: eed9e6c20a (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - はぁ……完結お疲れ様でした(;;) 終始ニヤニヤしっぱなしでした……´`* 素敵なお話をありがとうございました〜〜!! 番外編も楽しみにしてます◎ (2017年12月5日 0時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - わ、わ、わ…! ほんとですか(;;) ふ、ファンだなんて恐れ多いです;;ありがとうございます´`* ちょくくんファンなので、ちょくくんの作品があるのが嬉しくて…!*゚ これからも楽しみにしてますね〜◎ (2017年12月1日 14時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 | 作成日時:2017年10月14日 17時