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ここで良いんだよな?
扉の前に立って、そう小さく呟く。
表札には確かに"柊"と書かれているから多分間違いない。
インターホンに手を伸ばそうとしたけれど、
(でも俺が来ても、ただの迷惑野郎になるだけのような・・・)
急に弱気になるのであった。
いやいや、俺が行くって言ったんだろ。
ここまで来て帰る方がおかしい。
一人でうんうんと頷き、ほぼ勢いだけでインターホンを押した。
「・・・・・、」
けれど、訪れたのは静寂で、一向に人が出てくる気配はなく、
もう一度、と手を伸ばすと、
「・・・はい?」
扉が開き、そこからひょこっと顔を出しているAさんがいた。
その顔は赤く、目をとろんっとさせている。そこには、いつもの元気なAさんの姿はなかった。
「えっ、いしかわさん?なんで?」
Aさんは弱々しくそう言う。
「あ、お見舞い...に来たんですけど。宮下さん...で合ってますよね?行って欲しいって頼まれてので、」
しかし、やはり自信はなくて。
何に対しての自信なのかは、よく分からないのだが...、
ぺらぺら言い訳を話していた。
Aさんは聞こえていないのか、俺をぼーっとした目で見つめている。
「・・・っと!Aさん?大丈夫ですか!?」
かと思えば、体をふらつかせ俺の方に倒れてくる。
間一髪のところでキャッチ。
Aさんの体は驚くほど熱かった。
(・・・これは、相当、)
もちろん、女性の家に勝手に上がることには抵抗があったが、今はそんなことを言っている暇がない。
お邪魔します、とぐったりするAさんを抱き抱えながら、足を踏み入れた。
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梓(プロフ) - 如月明日香さん» ありがとうございますー!如月さんのコメントはどれも嬉しいものばかりですよ(_ _)ちょくのことが好きになってくれたのなら嬉しいです(笑)最後まで読んでくださりありがとうございました! (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - 雛*さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると凄く嬉しいです(^^;番外編の方もよろしくお願いします! (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
如月明日香(プロフ) - 完結〜〜!おめでとうございます! このお話で私は石川選手が好きになり、なんと実際に石川選手のタオルも買ったんです〜〜! それくらい、引き込まれる作品で、石川選手の魅力が詰まったお話でしたっ! 本当にこのお話大好きです!! 本当におめでとうございます! (2017年12月5日 0時) (レス) id: eed9e6c20a (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - はぁ……完結お疲れ様でした(;;) 終始ニヤニヤしっぱなしでした……´`* 素敵なお話をありがとうございました〜〜!! 番外編も楽しみにしてます◎ (2017年12月5日 0時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - わ、わ、わ…! ほんとですか(;;) ふ、ファンだなんて恐れ多いです;;ありがとうございます´`* ちょくくんファンなので、ちょくくんの作品があるのが嬉しくて…!*゚ これからも楽しみにしてますね〜◎ (2017年12月1日 14時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 | 作成日時:2017年10月14日 17時