F#51 告白大作戦

#10 ページ11

*




夢みたいだ。

というか、夢じゃないよね？
自分の頬っぺたをむにっと引っ張ってみる。


大丈夫、痛くない。ということは夢じゃない！






正直あのときは、「終わった」そう考えてい
た。


さよなら、石川さん。もう二度と話すことはないでしょう。とても楽しい時間をありがとう。


そんなことまで思っていた。





だって石川さんからしたら、たいして話したことのないヤツからいきなりLINE聞かれたわけだし。

どう考えても私ヤバい人だったよ。私だったら絶対そう考えてる。




それに、私はただの球団職員で石川さんは野球選手様だというのに。







それなのに今私が持っているスマートフォンには、石川直也の文字が写し出されているわけでありまして。




すごいよ、私！
一週間前までの私なら絶対に想像できなかったことですよ！




これはただ事ではないような気がして、寝転んでいた状態から正座に座り直す。





「これ、LINEしてもいいのかな？」


交換したってことは当然良いんだろうけど...

でもこれで、うざがられたら本当に終わりだ。




うーん、うーん？といつまでも答えの出ない問いに頭を悩ませていると、

　


ﾋﾟｺﾝｯ




スマホが振動し、目に入ったのは石川さんからのLINE。


そこには「石川です、よろしくお願いします。」と丁寧に書かれていて。




結構几帳面なんだな、石川さん。




私と同じように家でトーク画面を開いていた、そんなことを考えると思わずフッと笑みが溢れてしまう。


「柊です、こちらこそよろしくお願いします。」なんてありきたりな返信をした。



本当はもっといろいろ送りたいけど、まずは少しずつ。



連絡先を交換できるなんて本当に大きな一歩だ。






幸せだ、本当に。まだお友達でも何の関係でもないのだけど。








明日はもっとお話しよう、そんな思いを胸に今日も眠りについた。
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