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「ーーーっ、ひーらぎっ!」
そう呼ぶ声で我に返る。
目の前には私の顔を覗きこむ先輩職員の顔。
「あっ、すみません!」
「大丈夫か?なんか突っ立ってたけど、」
「はい!全然問題ないです!」
ただ!と言いかけてやめた。
ただ、石川さんの行為にビックリしてしまっただけ・・・
そんなことは、口が裂けても言えない。
先輩は腑に落ちない顔のままだ。
「ならいいんだけど。・・・そろそろ公式練習始まるけどいいの?」
あっ!完全に忘れてた・・・
「忘れてました、ありがとうございます!」
苦笑いを続ける先輩に背を向けて、球場へと向かった。
カメラを持って、練習中の選手を眺める。
今は野手の方たちが練習をしているので、当然そこに石川さんはいない。
残念だけど、少しホッとしている。
複雑な気持ちだ。
すると、バットを持った好青年二人組がこちらに近づいてくる。
悔しいけど、カッコいい。
パシャっと一枚撮影。
これをインスタにでも載せたら、ファンは喜ぶんだろうなぁ・・・。
「柊ちゃん、」
なんてことを考えていると、中島さんに声をかけられる。
「昨日の帰りどうだった?」
やっぱり本当のことだったんだ、
疑っていたわけではないけど、実感というものはなくて、
「なんか色々あったみたいです、」
「なんやそれ?」
西川さんがプッと吹き出す。
だって記憶がなくて、と弁護すると、
「まぁ確かに酔ってたんもんなー。」
と中島さん。
そんなに酷かったんですか!と、思わずため息がこぼれる。
「でも結構近づけたんやろ?結果オーライやん。」
「そうかもしれないですけど・・・」
「そろそろ二人で遊んできてもええんじゃないの?」
そんなことして石川さん迷惑じゃないですかね?と呟く。
中島さんは、えらい弱気だな、珍しい、と笑い出す。
「そんなことないと思うけどな。石川、柊ちゃんのこと嫌いじゃないやろ。」
中島さんは柔らかく笑って、そう言った。
「じゃあ頑張ってみます!」
単純な私はその一言で気持ちがガラリと変わるわけで、
色々とからかわれてきたけど、
この二人には感謝しなきゃいけないな。
あらためてそう感じた。
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梓(プロフ) - 如月明日香さん» ありがとうございますー!如月さんのコメントはどれも嬉しいものばかりですよ(_ _)ちょくのことが好きになってくれたのなら嬉しいです(笑)最後まで読んでくださりありがとうございました! (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
梓(プロフ) - 雛*さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると凄く嬉しいです(^^;番外編の方もよろしくお願いします! (2017年12月5日 17時) (レス) id: 884c868c1e (このIDを非表示/違反報告)
如月明日香(プロフ) - 完結〜〜!おめでとうございます! このお話で私は石川選手が好きになり、なんと実際に石川選手のタオルも買ったんです〜〜! それくらい、引き込まれる作品で、石川選手の魅力が詰まったお話でしたっ! 本当にこのお話大好きです!! 本当におめでとうございます! (2017年12月5日 0時) (レス) id: eed9e6c20a (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - はぁ……完結お疲れ様でした(;;) 終始ニヤニヤしっぱなしでした……´`* 素敵なお話をありがとうございました〜〜!! 番外編も楽しみにしてます◎ (2017年12月5日 0時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
雛*(プロフ) - わ、わ、わ…! ほんとですか(;;) ふ、ファンだなんて恐れ多いです;;ありがとうございます´`* ちょくくんファンなので、ちょくくんの作品があるのが嬉しくて…!*゚ これからも楽しみにしてますね〜◎ (2017年12月1日 14時) (レス) id: cd2200b77f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 | 作成日時:2017年10月14日 17時