文豪から愛しい貴女へ II

色鮮やかな <芥川龍之介> ページ4

月華さんリクエスト

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生まれた時から色を知らない

ずっと黒色と言う色ばかり

でも、私には色は感じれなくとも他の感じは鋭い

「A」

遠くからでも聞こえる耳には愛しい人が私の名前を呼んでくれる

季節は夏になりかけ

「お久しぶりです。芥川さん」

「待たせたか？」

仄かに血の匂いがする

精一杯落としてきたんだろう

「全然。行きましょう」

歩数で此処の道は覚えている

「……A、僕の腕に腕を絡めるといい」

「大丈夫ですよ。ご迷惑でしょ？」

「迷惑だったら付き合っていない」

そんな気障な台詞をはく彼

どんな顔なのか、みてみたいのに

「芥川さん、少しお顔に触れても？」

「構わないぞ」

そう言われてそっと触れる

華奢な顔立ちに少し鋭い目

矢っ張り整った顔だな

「かっこいいですね」

「そうか？Aも可愛いぞ……って気をつけろ！」

そう言ってぐいっと引き寄せられる

何事かとかと思って足で探ると段差があった

こんな所にあったっけ

「工事中だ。すまぬ。少し見ていなかった」

「いえいえ、結局助けられましたから」

そう言って見えないけど芥川さんの方を見て

御礼にキスをした

「な……！」

「ふふふ、いっつも沢山貰ってるので、お返しです」

そう言って腕を絡める

例え見えなくても、貴方が私の代わりにその美しい目で美しい景色を見て感想を言ってください

貴方の目が、私の目ですから

「あ、蝉の声」

「少し待っていろ。捕まえてくる」

見えないから触れさせてくれようとする芥川さん

その優しさも、一生懸命なところも

全部好きです

例え一生貴方の姿が見えなくても

私の世界は色鮮やかに輝いてますから







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芥「リクエスト感謝する。蝉か？上手く捕まえたぞ。触れてみろ」

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