【川西賢志郎】キレイな心。 (ページ6)

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無邪気な笑顔ページ6

吸い込まれるような魅力は一体どこから出ているんだろう。

ただ見つめてしまうことしかできない自分が憎かった。

すると、彼女は俺の視線を悟ったのか髪をふわりとさせこちらに目を向けた。

ドキッ。大してきつく締めたわけでもないネクタイ付近の首が喉を閉じた気がした。

ハッと気付いた彼女は誰にも迷惑のかからないよう小さなお辞儀をしてニコッと俺に微笑みかけた

俺が昨日と同じスーツを着ていたからなのか、覚えてくれていた素振りに口角が上がってしまう。

ピピーッ。そう思うと次の駅になりドアが開く。

同時に彼女はこちらに向かって足を進めてくる。

息を飲む暇もなく彼女は俺の横に来た。何をするにも一瞬な彼女は何者なんだろうか。

彼女の行動が一瞬なのではなく、心を奪われている俺の時間がただ止まっているだけだった。

「あの、昨日の方ですよね？昨日はありがとうございました！しっかりお礼したかったのに人が多くて何もできなくて...」

目と目が合ったのはこれが初めての事ではないのに、何度だって胸がキュンとする。

「あっ、うん！全然やで！大丈夫なん？痛かったやろ？ごめんな、もう少し早く気付いてあげれば...」

「いえ！本当に助かりました！」

俺の言葉をかき消すように無邪気な声で彼女は答える。

こんなに儚いようなキレイさを持っているのにどこか強気でいる彼女は本当に魅力だらけだ。

また沈黙を破ったのは彼女の方だ。

「また今日も会えるなんて思ってなかったから嬉しいです！」

自分の気持を素直に伝えてくれる彼女は俺なんかよりよっぽど逞しい。

「そんなん俺もや！いつもこの電車なん？」

「いえ...基本どの電車でも帰れるんですけどたまたま来たのがこの電車だったんです」

彼女の答えを聞くと毎日この電車に乗っているわけではなさそう。

そう考えると自分から合わせに行った運命だとしても、本物だった気がした。

「俺もこの電車やと遠回りやけど途中で見える海の反射とか夜景とか好きでわざと時間合わせて乗ったりしてな。なんかいいやん？心が染みるというか」

俺の話をひたすら頷いて聞いてくれる彼女。

「いいなあ。私その３つ前で降りちゃうんです。だからそのキレイな景色見れなくて...」

すると、「アッ！」