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「坂田さん！！」
Aの声で目が覚めた。もう夜の八時頃だろうか。夕陽に照らされていたはずが、気がつけば辺りは暗くなっていた。
まーしぃも寝てしまっていたらしく、眠そうな目を擦りながら坂田が起きる様子を見ていた。
「おはよう、坂田。気分悪ない？」
「え？うん…え、何があったん？」
「敵に殴られて意識失っとったやん！Aこんだけ泣いてんのに覚えてないんか」
「あー！思い出した。ごめんごめん、心配かけて」
えへへと笑って、首を左右に傾けポキポキ鳴らす坂田を安心しきったような瞳で見つめるA。なのに当の本人は「ひっさびさによく寝たー！」と伸びをしているくらいなのだから本当にアホなんだと思う。
「え？A泣いてるやん！どしたん？あ！手の怪我いける？」
「起きて早々忙しいなおまえは」
「あ、えと、平気です」
「良かったぁー！」と両手を大きく広げてAをそのまま包み込もうとするが無意識に出た俺のストップの声と坂田を止める手で坂田は布団に投げ出される。
「怪我人にそんなんやる？！」
「いやさっきのは坂田が悪い」
「まーしぃまで！」
「そんだけピンピンしてたら怪我人とはもう言わんやろ」
久々に明るさが戻り、今夜の長旅と明日の最後になると思われる戦に備えてのんびりと過ごすこの時間。
そのとき、神妙な面持ちで襖を開けて入ってきたのはうらたんとAの兄。
「今夜、出発する」
「……真冬は？」
「僕は、ここに残るよ。」
Aは兄との別れを悟っていたかのように静かに目を伏せ、「そう……」と小さく呟いた。
きっと一生の別れになるだろう。
父親に裏切られた妹と父親を裏切った兄の別れかけた人生が一つに重なり、そして再び二本の道へと分裂する瞬間だった。
.
夜、月明かりに照らされる中俺らは馬の手綱をとる。
「身体に気をつけてね。幸せになりなよ」
「真冬も、…元気でね」
真冬さんは愛おしそうにAの頬に手を添える。
じわりとAの大きな瞳から溢れた涙が彼の手を伝う。
黒髪と
思わず息を飲むほどの美しさだ。
見た目も中身もこんなに美しい兄妹など、他に存在するだろうか。
「じゃあ、行こうか」
うらさんの声で、俺らは真冬さんに背を向けた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
攻城野戦(こうじょうやせん)
……意味:城を攻め、野で戦うこと。最前線で奮闘すること。
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湊 - 更新停止中だと！？めっちゃ面白いし、ハラハラします！！続き気になります！！！ (2021年3月10日 16時) (
レス) id: e6fd04cefe (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - みいさん» ありがとうございます！無事終了して私もほっとしてます(笑)応援ありがとうございます！今後ともよろしくお願い致します◎ (2020年12月6日 9時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - ちょこさん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません。私事ではございますが今年大学受験を控えていたため更新お休みさせて頂いていました。先日無事終了しましたのでまた徐々にではございますが更新再開予定です。今後ともよろしくお願い致します！ (2020年12月6日 9時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 紅灯-あかり-＠crewさん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません。ほんと個人的な事情なのですが、大学受験を控えていたため更新お休みさせて頂いていました。先日無事終了しましたのでこれからまた更新再開していく予定です◎改めまして今後ともよろしくお願い致します！ (2020年12月6日 9時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
みい - 受験でしたか…！お疲れ様です。更新頑張ってください！。 (2020年12月6日 9時) (レス) id: fd64c2f6dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時：2019年11月29日 16時
