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吉原に売られた身とはいえ、一応この城は我が家だ。
人に目がつかない部屋だってちゃんと知っている。
刀を構え、襷で袖を縛った戦闘態勢のうらたさんたちと別れて一人で城の裏までまわり周囲に気を使いながらゆっくりと歩を進める。
履物は植物の影に隠しておき、忍び足で中に入る。
脳裏に過ったのは、あの日……吉原から逃げ出し追われていたのをセンラさんに助けて貰った日を思い出した。
人目をかいくぐり、ここに住む者しか分からない物置部屋へと続く階段に足をつけた、その時─────────
「いっ……！」
一瞬、私の右手の甲に何かが掠め、その手を見ると目を瞑りたくなるような痛々しい傷があった。
振り返ると、敵の武士が私に向かって刀を振り下ろそうとしていた。
香流にとって私は生かしておかなければならない人間だから、きっと脅しの道具としてだろうけれど。
(逃げなきゃ……)
うらたさんたちと真冬に助けて貰った命が無駄になる。そう思い、階段を駆け上がろうとするけれど男女の差って割とあって。
あぁ、また捕まってしまう……と諦める心がなかったかと言われれば否めない。
しかし、カキンッと金属どうしがぶつかるような鋭い音が背後でしたと思えば、何者かによって肩を捕まれ体の後ろへ追いやられる。
背中にいる私に手を回すようにして振り下ろされた相手の刀を受けた
「さかたさん…！！」
坂田さんには、昨日まではなかった切り傷が増えて所々が赤く滲んでいた。髪も乱れ、襷もずり落ちてきっと邪魔になったのであろう、はちまきは手首に緩く巻き付けられていた。
はぁ、はぁと肩で息をする坂田さんの背後にいる私は、その熱を身体で感じる。
刀を振り回し、敵を倒す坂田さんは普段の温厚な姿からは考えられないほど殺気に溢れていて、ては強く握り締められていた。
倒れた香流の武士を見て、坂田さんは安心しきったように私の顔を見て、そしてすぐに切られてしまった私の手の甲を優しくとった。
「Aいける？！切られてるやん、ごめんなもっと早くA見つけたら良かったほんまごめん……」
「いいんです。というかむしろ、ありがとうございます」
坂田さんは自分の手首に巻き付けていたはちまきを取り、私の手の甲の傷にあてる。片端を口で咥え、おぼつかない手つきでクルクルと巻いてくれた。
巻いてくれる際に近づいたときにちらりと見えた首筋から滴る汗にドキリと心臓が跳ねた。
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湊 - 更新停止中だと！？めっちゃ面白いし、ハラハラします！！続き気になります！！！ (2021年3月10日 16時) (
レス) id: e6fd04cefe (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - みいさん» ありがとうございます！無事終了して私もほっとしてます(笑)応援ありがとうございます！今後ともよろしくお願い致します◎ (2020年12月6日 9時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - ちょこさん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません。私事ではございますが今年大学受験を控えていたため更新お休みさせて頂いていました。先日無事終了しましたのでまた徐々にではございますが更新再開予定です。今後ともよろしくお願い致します！ (2020年12月6日 9時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 紅灯-あかり-＠crewさん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません。ほんと個人的な事情なのですが、大学受験を控えていたため更新お休みさせて頂いていました。先日無事終了しましたのでこれからまた更新再開していく予定です◎改めまして今後ともよろしくお願い致します！ (2020年12月6日 9時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
みい - 受験でしたか…！お疲れ様です。更新頑張ってください！。 (2020年12月6日 9時) (レス) id: fd64c2f6dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時：2019年11月29日 16時
