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坂田の馬を走らせながら、涙を流していたのだろう。
Aの瞳は赤く染まり、その小さな手にはまだ微かに震えが残っていた。
香流の人間に見つかってしまうと危険だと判断したうらたんに続いて俺もまーしぃも部屋に入り、Aもゆっくりと俺らの後に続いた。
うらたんとまーしぃがお互いに傷の手当をしている間に、Aに温かいお茶を手渡すと「ありがとうございます」と言って湯呑みに唇をつける。
「落ち着いた？」
そう言いながらうらたんがAの肩にそっと手を置くと、Aは小さく頷いた。
『敵に、やられました……』
Aの言葉に衝撃を隠せなかった。
誰もその先の現実を知りたくなくて口を開かなかった中、うらたんが静かに「……死んだのか？」と聞くとAは首を振り、それにどれほど安堵したことか。
「ゆっくりでいいから、何があったのか教えて欲しい」
すぅ、と小さく息を吸いAは少しずつ何があったのかを話し始めた。
香流の人間に連れていかれた時のこと、兄のこと、そして坂田の身に何があったのかということ。
再び涙を流し始めたAの華奢な身体を優しく包むうらたんに嫉妬心を抱いている自分が憎い。
ただそれよりも、今の状況に対する驚きと焦りの方が大きかった。
俺らが恋をしたのは、敵国の姫だ。
これぐらい、覚悟の上ではなかったのか。
「どうする？うらたさん」
「今すぐ香流行きたいとこやけど、俺らが戦を手放したら戦況は悪くなる一方や」
「……だからって、坂田を見放すなんか」
「できひんよなぁ」
泣き疲れたのか、うらたんに身体を預けて寝てしまったAの顔にかかった美しい黒髪をそっと手でよける。
涙に少しだけ腫れてしまった目と、頬に残る涙の筋を見るとより一層彼女が愛おしく思えた。全てを自分のものにしたい、逃避行したって良いのでは……
なんて考えてしまう俺は、本当に狂った人間だ。
「明日、俺らで香流に行こう。そんで一日で決着を付ける。
拠点の城を潰したら、俺らの勝利はほぼ確定だ。
けれど、それなりのリスクはある。こっちの戦は全て足軽任せだ。
けれど、明日城を抑えられたら全ては明日で決まる」
凛々しい面持ちで、うらたんは淡々と述べた。
俺もまーしぃも黙って頷いた。
.
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.
俺、気づいてるねんで。
普段なら女を使い捨て扱いするまーしぃのAを見る目が、他の女を見る目と違ってること。
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湊 - 更新停止中だと！？めっちゃ面白いし、ハラハラします！！続き気になります！！！ (2021年3月10日 16時) (
レス) id: e6fd04cefe (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - みいさん» ありがとうございます！無事終了して私もほっとしてます(笑)応援ありがとうございます！今後ともよろしくお願い致します◎ (2020年12月6日 9時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - ちょこさん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません。私事ではございますが今年大学受験を控えていたため更新お休みさせて頂いていました。先日無事終了しましたのでまた徐々にではございますが更新再開予定です。今後ともよろしくお願い致します！ (2020年12月6日 9時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 紅灯-あかり-＠crewさん» お返事遅くなってしまい申し訳ございません。ほんと個人的な事情なのですが、大学受験を控えていたため更新お休みさせて頂いていました。先日無事終了しましたのでこれからまた更新再開していく予定です◎改めまして今後ともよろしくお願い致します！ (2020年12月6日 9時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
みい - 受験でしたか…！お疲れ様です。更新頑張ってください！。 (2020年12月6日 9時) (レス) id: fd64c2f6dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時：2019年11月29日 16時
