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「ん…。あれ、ここ…。一番最初に目を覚ました場所だ」




Aはゆっくりと体を起こす。頭の痛みは消えており、息苦しくも何ともない。が、気になることが一つある。




「『あつし』って…誰のこと…?」




気を失う前、確かに自分はそう呟いた。が、何をどう思って言ったのか、分からない。歪む視界の中、うっすら見えたのはもう一人の自分。なぜ、それを見てあつしと言ったのか…。




「ダメだ。何もわからない…。……ん?」




ベッドの隣にある小さな棚に、メモが置いてある。それには、綺麗な字で何か書いてあった。内容は





仕事が入ってしまった。調子が良くなったら部屋に戻っていいからね


森 鴎外







「森さん、忙しいのかな。また今度お礼を言おう。紅葉さんと中也さんにも、お礼を言いに行こう。紅葉さんにはドレッサーのこと、中也さんには運んでくれたこと」




ベッドを綺麗に整え、部屋を出る。黒服の男達には睨まれたような気がしたか気にしない。(気にしていたらキリがない)
二回通った(運ばれたの方が正しい)廊下なので、少しキョロキョロしながら部屋に向かう。




「確か、こっち…」




廊下を曲がった時、何かにぶつかる。




「あ、すみませ…」

「人虎…!」

「え?」




そこには、黒で身を包んだ男…いや、青年の方が正しいだろうか。異常に細い体。黒い外套は、風もないのに勝手に揺れている。温度のない目でAを睨みつけている。




「…と、思ったが…貴様は偽物か」

「ま、まあ…。えっと、貴方は…」

(やつがれ)は芥川。頭に残さなくても構わぬ。もう会うことは無い」

「え、えっと…」




あまりの冷たさに、Aは困惑する。そう言われては、自分が名乗る必要も無いような気がしてくる。




「念の為に聞いておく。貴様の名は」

「中島A、です。その、記憶喪失になってしまったみたいで、怪我をしているところを森さんに助けていただきました」

「名しか聞いていない。一つ、忠告をしておく。今後、僕の前にふらりと現れるな。首が飛ぶ」

「わ、わかりました…」




芥川はAの横を通り過ぎ、そのままどこかへと行ってしまう。小さな寄り合いとは聞いたが、変わった人達が多いんだなと、Aはしみじみ思った。




「と、とりあえず、部屋に行こう」




芥川のことを今はもう気にせず、Aは廊下を歩き始めた。

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arena(プロフ) - あかりさん» 無言参加失礼しました…。読んでいただいて光栄です!ありがとうございます! (2018年1月29日 7時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます! すごい面白いです これからも頑張って下さい! (2018年1月29日 2時) (レス) id: 59dc504c48 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - ちゅうや大好きさん» ありがとうございます! (2018年1月28日 13時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅうや大好き - すごく面白いです (2018年1月28日 12時) (レス) id: 2184bb70c3 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます。自分の作品の内容を忘れてしまう馬鹿ですが頑張ります!笑 (2018年1月22日 0時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:arena | 作成日時:2018年1月11日 21時

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