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「……」
恐怖で足がすくみ、そのまま崩れ落ちる。男は慌ててAに近づき、目線の高さを合わせた。
「大丈夫かい?」
「い、痛い…!」
恐怖のせいでしゃがんだが、走ったせいで、傷に痛みが走ったせいでもある。ワンピースの隙間から月明かりで見えた傷に、男は目を見開く。隣にいた少女もだ。
「リンタロウ!この子、怪我してるわ!リンタロウ、放っておくの!?最低ね!!」
「エリスちゃん!?私、まだ何も言っていないよ!?……君、私と来なさい。そんな傷を見てしまっては、見過ごすわけにいかないからね」
男はAに手を伸ばすが、警戒しているのか、その手を撮ろうとしない。男は悟り、微笑む。
「私は元だが医者だ。君の傷を見てあげるよ」
「い、しゃ…?」
「ああ。君、名前は?」
「…分かりません。目が覚めたら、病院にいて…。なんとなく抜け出して歩いていたら、敵視されたり、味方だよと言われてついて行けば、切られそうになったり…」
Aの目から、大粒の涙が流れる。
「私っ…犯罪者か何かですか…!?記憶がなくなったのか、何もわからないんです…!」
「……それは怖かったね。大丈夫。私は何もしない。何かする人なら、こんな女の子は私についてきてくれはしないさ」
「リンタロウはロリコンだけど、大丈夫よ!」
それ褒めてない!と喚く男に、Aは思わず吹き出す。それを見た男は、再びAに手を出す。
「…来てくれるかい?」
「…はい。その、お世話になります」
「ああ。治せるよう、努力するよ」
Aは男の手を持って立とうとするが、ふらつき、男にもたれかかる。男は抱きとめ、携帯で誰かに連絡をした。数分もしないうちに、黒い車が近くに止まる。
「ここから帰るところまでは少し距離がある。さあ、乗って」
「は、はい」
車に乗り、静かに出発する。しばらく窓の外を見ていたが、眠気を誘う、心地よい揺れに、Aは眠りについた。
それを見計らい、前に座っていた金髪の女が話しかける。
「
「いいや。そっくりだが、違う。
「わかりました。芥川先輩に伝えておきます」
「頼んだよ」
男____ポートマフィアの首領、森鴎外は、クスリと怪しげに笑った。
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arena(プロフ) - あかりさん» 無言参加失礼しました…。読んでいただいて光栄です!ありがとうございます! (2018年1月29日 7時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます! すごい面白いです これからも頑張って下さい! (2018年1月29日 2時) (レス) id: 59dc504c48 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - ちゅうや大好きさん» ありがとうございます! (2018年1月28日 13時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅうや大好き - すごく面白いです (2018年1月28日 12時) (レス) id: 2184bb70c3 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます。自分の作品の内容を忘れてしまう馬鹿ですが頑張ります!笑 (2018年1月22日 0時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:arena | 作成日時:2018年1月11日 21時