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「ま、待ってください…。何のことか、分からないんです…」
「あぁ?……手前、なんだ?その格好は」
Aの格好は、白い長袖のワンピースだけだ。裸足で、靴下さえ履いていない。
「はっ、笑わせやがる。夜に一人で散歩したいから、狙われないよう女装か?」
「女装って…私は女です…」
「は?」
青年の顔から笑が消え、驚いた顔になったと思ったが、すぐに怒ったような顔になる。
「知らばっくれるのもいい加減にしやがれ。今すぐ殴り飛ばしてやるよ」
「中也、やめてくれるかい?私の大事な部下に手を出すのは」
Aの肩に、そっと手が置かれる。月明かりで見えるのは、長い外套に、首元や手に巻かれている包帯………太宰だ。
「ちっ…邪魔すんじゃねぇ」
「中也が私の視界に入ったのだよ。今戦う気はないのだけれど…」
「俺も興ざめた。今は見逃してやる。次はねぇぞ」
中也と呼ばれた青年は、外套を翻して素直にその場を去っていった。
「……敦君、こんな時間に何をしているんだい?夜はマフィアがよく彷徨く時間だよ」
「あつ、し…?」
Aの頭の中に、自分とそっくりな少年が思い出される。しかし、誰だかわからず、頭痛がした。
「っ……!」
「?敦く………!?君、まさか…」
太宰の目に入ったのは、薄暗いが、服からはみ出ている傷跡。それは、昼間に見たものと同じ傷跡だった。
頭をおさえてうずくまるAを、太宰はそっと抱き上げる。
「え…?」
「大丈夫。何もしないさ。今はおやすみ。真夜中に起きていると、健康に良くないよ」
太宰の優しい声色に、Aは眠りにつく。太宰は歩いてきた道を戻り、探偵社へ向かった。
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arena(プロフ) - あかりさん» 無言参加失礼しました…。読んでいただいて光栄です!ありがとうございます! (2018年1月29日 7時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます! すごい面白いです これからも頑張って下さい! (2018年1月29日 2時) (レス) id: 59dc504c48 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - ちゅうや大好きさん» ありがとうございます! (2018年1月28日 13時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅうや大好き - すごく面白いです (2018年1月28日 12時) (レス) id: 2184bb70c3 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます。自分の作品の内容を忘れてしまう馬鹿ですが頑張ります!笑 (2018年1月22日 0時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:arena | 作成日時:2018年1月11日 21時