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「お、おい!しっかりしろ!おい!!」
苦しそうな表情なAに、中也は必死に声をかける。が、Aの口から漏れる言葉は『痛い』と呻き声だけだ。
「
中也はAを持ち上げ、廊下を走る。しかし、揺れるたびにAの表情はさらに苦しそうになる。揺れが頭に響くのだ。
仕方なく、中也は早足で廊下を歩く。
「鏡を見て苦しんだってことは…やっぱ、人虎の身内か?資料で見た人虎は、コイツに瓜二つだしな…」
「い、痛い…」
「もうちょっとで
中也はエレベーターに乗り込み、森がいる部屋へと向かう。しかし、部屋の前で黒服の男二人が立ち塞がった。
「幹部殿でも、御用を教えていただかなければお通しできません」
「急用だ。退け」
「ですが」
「さっさと退け。重力に押しつぶされてぇのか?」
黒服の男達はさっと扉を開ける。中也の異能、『汚れつちまつた悲しみに』は、触れたものの重力のベクトルと強さを操ることができる。中也の敵となったものは、大抵、重力に押しつぶされて死ぬのだ。
「失礼します、首領」
「中也君。どうした……何があったのかね?」
「突然、頭が痛いと言って倒れました。何か処置をお願いします」
「こっちに来たまえ。ベッドに寝かせよう」
奥の部屋に入り、中也はAをベッドに寝かす。汗の量が多く、息苦しそうである。
「頭痛薬を飲ませよう。中也君、水を入れてきてくれ」
「はい」
「大丈夫かい?私がわかるかね?」
Aはうっすらと目を開け、少しだけ頷く。
「今、薬を持ってくる。飲めば、少しは楽になるだろう」
森は薬と中也が持ってきた水をAに飲ませる。数分もすると、痛みが和らいだのか、Aの表情は穏やかだ。森と中也はそっと部屋を出る。
「彼女、何か言っていたかい?」
「『あつし』と言っていました。この名前、まさか…」
「人虎君のことだね。彼女が彼の身内だという可能性が高い。いや、決定かもしれないね」
森は椅子に座り、昼の景色を見る。ワインが少しだけ入ったグラスをくるくると弄ぶ。
「では、彼女を利用し、人虎をおびき出す…ということに?」
「やっぱり、そうなるね。何せ、彼は懸賞金七十億だ。このチャンスを逃してはいけない」
「すまぬが、その作戦に異議ありじゃ」
扉の前には、いつ入ったのか、尾崎が立っていた。
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arena(プロフ) - あかりさん» 無言参加失礼しました…。読んでいただいて光栄です!ありがとうございます! (2018年1月29日 7時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - イベント参加ありがとうございます! すごい面白いです これからも頑張って下さい! (2018年1月29日 2時) (レス) id: 59dc504c48 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - ちゅうや大好きさん» ありがとうございます! (2018年1月28日 13時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅうや大好き - すごく面白いです (2018年1月28日 12時) (レス) id: 2184bb70c3 (このIDを非表示/違反報告)
arena(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます。自分の作品の内容を忘れてしまう馬鹿ですが頑張ります!笑 (2018年1月22日 0時) (レス) id: eb7b6b7134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:arena | 作成日時:2018年1月11日 21時