・ ページ17
「いつまでそうやって尽くしてくれるの?」
ポロ、とこぼれた米粒。
問いかけた私の、問いの意味がわからなかったらしい。困り果てた穂波ちゃんの眉がだんだん下がっていく様子を横目に、きれいな形をしたおにぎりを頬張る。
口の中で崩れていく米の食感と程よい塩加減、具の味つけも丁寧に調整されていて、一口また一口と食べ進める口が止まらない。この素晴らしい感情を美味しいとかいう四文字にまとめてなんてもったいない。
ああいや、食レポしたいわけじゃないんだった。
「こたえてよ」
「えっと…私、尽くしたことなんてないと思うんだけど…」
「ある。めちゃくちゃ。今も」
口元についている米粒をとっておきながら尽くしていた自覚がなかったと主張してくる穂波ちゃん。全く呆れてしまう。
美味しい?と聞いてくる姿はまるで新婚の奥さんで、美味しいと返す私は新婚の夫気分だ。結婚するなら穂波ちゃん一択だろう。
「ねえこたえてってば。いつまで?今日まで?高校卒業まで?これから一生してくれる?」
「んー……ずっとこうしてるよ」
「テキトーな返事!なんでよ。付き合ってて面倒くさいでしょ私、いいよ全然捨てたって大丈夫なんだから」
こんなこと言うの、面倒くさいって分かってる。分かってるけど、それでも期待しちゃったんだもん。
4人がお気に入り
「短編集」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あきまる(プロフ) - ょむむむさん» コメントありがとうございます!このえななんは私も気に入ってます💕💕 (9月20日 20時) (レス) id: ed0e33f0ac (このIDを非表示/違反報告)
ょむむむ - えななんが最高にえななんらしくて好き!!かわいい💕更新頑張ってください! (9月20日 20時) (レス) id: 946b79f9ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ